デジカメに写る
ひとりで店番をしていると、KBS 京都の「ホームページ京都」という所から電話がかかってきた。突然で恐縮ですが今すぐ取材をさせて貰いたい、との事。30 秒程の映像を撮るだけだからすぐに済みます、とは言われたものの、ひとりなのでもし忙しくなれば相手を出来ないかもしれない、と断り、18 時以降ならスタッフがもう 1 名やってくるから 18 時以降なら、と言うと、じゃあそれで、ということになった。
で、18 時過ぎに取材は行われたのだが、取材といっても、デジカメで店内をちらりと写し、私に簡単な質問をし、私を写すだけ。私を写す? そう、マイクを持ってデジカメに向かい、店の宣伝をしてくれ、と言われたのだ。嫌だなあ。前にも一度、こんばわんばの番組に出て喋ったことがあったけれど、あれも最低だった。大体何を喋ったらいいのか分からないし、どういう表情で喋ればよいのかも分からない。結局どうという事のない内容のことを、いまひとつ焦点の定まらない表情で、曖昧模糊に喋る。
夜はなかなか忙しかった。オイシンが来るはずの時間に来ないので、ショウヘイくんと二人でてんてこまい。そんななか、お客さんの外人が寄ってきて「インタビューをさせて下さい」という。なんだかよく分からないが、「えーと、後で暇になればいいですよ」と答える。そのまま 2 時間以上待たせて、「もう無理でしょうか」と言ってきたので、ちょうど落ち着きかけであったのを幸い、ショウヘイくんに店を任せ、インタビューに応じる。ところでインタビューとは?
私は当然、店の取材だと思っていたのだが、どうやら違うらしく、この DAVE GABRIEL BENE という人の作る作品のためのインタビューだった。DAVEは、様々な所に行って様々な人々に会い、それらの人にインタビューをし、その映像を撮って集めて、作品にするのだという。とりあえずインタビューに答える。
トモコが我が家の iBook を持ってきて、ババさんに見て貰う。どうにもうまくいかないからだ。ババさんの手に掛かると、たちまちうまくいった。ところもあるが、どうにもうまくいかない所もある。やれやれ。
トモコは真剣にババさんとともにやっていたが、私はついていけなくて、可能に貰った「早稲田文学」1 月号に収められている柄谷行人インタビューを読む。文学の力は否定性にあり、映画は逆に積極性にある、といった話が面白い。有益。
その他にも福田和也と渡部直己の宿敵対談や、可能の畏敬する鎌田哲哉の NAM 批評、スガヒデミの 1968 年革命論など、驚くほど充実した内容。最近これほど面白い雑誌は読んだことがない。どうやら次号には町田康のインタビューが載る様子。うーん、近くの本屋では手に入らないので、定期購読でもするか? などと調子に乗って考えてみたりもしたのだった。
小川顕太郎 Original:2000-Dec-29;