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 Diary 2000・12月26日(TUE.)

無限成長

 トモコを店に送り出して、可能を起こす。寒いので肉うどんを作り、可能と一緒に食べ、音楽を聴きながら、さまざまなよしなしごとを語る。

 可能は言う。無限成長を続けるにはクリエイティブパワーが必要なのは当然だが、右脳を使うのも重要だ。右脳を主に使う絵描きなどに、長生き、且つ晩年になってから傑作をものする人が多いのも、無限成長と右脳の関係を証している、と。なるほど、

 と私は思いながら、それでは右脳を鍛えるためにどのような事をしているのか、と可能に尋ねてみた。すると「児童文学を書くのも、オレにとっては右脳を鍛える事だ」と答える。ちなみに可能の書いた児童文学は、来年初頭に発売される予定だ。しかし、そうなのか? それが右脳を鍛えることになるのか? 「それから暇をみつけたら紙に落書きをしている」。へえ? そ、そうか。なるほどなあ、そういえば可能は中学生の頃から「目を鍛えるには遠くをみつめることや」と言いながら、電車に乗ると必ず窓の外の遠くの方を睨んでいたものだ。基本的にこの頃から可能は変わっていないということか。大宮東映で『バトルロワイヤル』を観てから帰るわ、と言って可能は家を出た。

 店に行く。マツヤマさん来店。『まんがサガワさん』を性懲りもなく見せると、しばらくパラパラと読んでから、「捨てちゃって下さい」と返された。

 マツヤマさんは、悪い意味ではなく、道徳感情が強い。このマンガを書いたサガワさんはともかく、この本を作った人間、周りに群がってくる人間が嫌だ、という。しごくまっとうな意見だろう。私も基本的には同意見だが、この本の存在価値はあると思う。それは、衝撃度の故に神話化されてしまった事件・犯人を解体し、ある種の犯罪者はどんな酷いことをしても決して反省しない、ということを示しているからだ。犯罪者の人権を過剰に言い立てる人達に、是非とも読んで欲しい。

 ところで犯罪者の人権を過剰に言い立てる人々を撃ったのが、かのハリー・キャラハンことクリント・イーストウッドだが、私が『ダーティーハリー』以降のイーストウッド映画しか観ていないことを知って、「ダメだなあ、イーストウッドはやはりマカロニウエスタンですよ。」とマツヤマさんは言う。マツヤマさんはブルータスのマカロニウエスタン特集で執筆している程のマカロニウエスタン好き。マカロニウエスタンがいかに素晴らしいかを、熱を込めて語ってくれる。私も思わず引き入れられて熱くなる。ううむ、来年はマカロニウエスタンか!

小川顕太郎 Original:2000-Dec-28;