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SOUL CHAMBER

ソウルチェンバー
座談会020326

 

第一回 ノーザンソウルとは(中編)


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オガケン

 それでは、私の「マイ ノーザンソウル トップ 10」を発表します。順不同です。

オガケン・チョイス

  • My Sugar Baby  Connie Clark
  • I Still Love You  The Sevev Souls
  • I'll Do Anything  Doris Troy
  • Are You Angry?  Service Men
  • What  Judy Street
  • What Can I Do  Billy Prophet
  • (Count down) Here I Come  The Tempos
  • Wee Oo I'll let it be you, baby  Louise Lewis Miss LL
  • I Can't Help Loving You  Paul Anka
  • Job Opening  The Del-Larks
ヒラノ

 随分とノリノリやねえ。

オガケン

 というか、ベタでしょう。実は、これ昨日の晩に一回すべて書き直したんです。最初は、まあ、ちょっとレアな奴を、とか、通うけしそうな奴を、とかって、どうしても選んでしまって。でも、それじゃいかん、と。ノーザンソウルと言われてすぐに浮かぶ、自分にとって思い出深い、自分にとってのノーザンを、という事で、選び直しました。

 ここにある曲は、ダンスフロアの記憶と結びついているものが多いんですよ。例えば、The Tempos なら、オパールでキタアキくんがプレイしてくれた時の、Service Men なら、ケブがオトヤでまわした時の、Doris Troy なら、ヒラノさんがコラージュでかけている時の、その感覚が身体に染みついているんです。だから、自分にとって厚みが違う。

ヒラノ

 イチモトなんか、Judy Street とかあかんやろ。

イチモト

 別に、あかん事はないです。それはそれでいい曲だと思いますよ。ただ、ボクのベスト 10 には入らないだけで。

オガケン

 この Judy Street とか Paul Anka とかね、ここら辺は必ずいれたかったんです。こういう白人による、ポップな曲ね、ここら辺が、まあ、いわゆる日本のソウルファンから攻撃される所じゃないですか。こんなものソウルじゃない、とね。その気持ちは、実は分からないでもないんですが、でも、ノーザンの耳で聴くと、これらは紛れもなくソウルなんですよね。共通の匂いがある。ヒラノさんなんかは、どうですか?

ヒラノ

 うん、ボクもそう思うよ。ノーザンというくくりで見れば、ソウルなんじゃない。

オガケン

 そうなんですよ。ここら辺りの良さが分かるかどうかが、ノーザンが分かるかどうかの分水嶺のような気がします。では、次はイチモトくん。

イチモトズ・チョイス

  1. Stubborn Heart  Ernest Mosely
  2. Love Slipped Through My Fingers  Sam Williams
  3. I Must Love You  Melvin Davis 4
  4. Another Sundown In Watts  Exits
  5. Sweetest Thing  Channel 3
  6. I Still  Love You  The Sevev Souls
  7. Special Kind of Woman  Paul Thompson
  8. Dearly Beloved  Jack Montgomely
  9. I'm The One Who Loves You  Darrell Banks
  10. Because Of You  Jackie Wilson
クラタニ

 しぶいなあー。

オガケン

 Paul Thompson が入っている所が、イチモトくんらしいね。

ヒラノ

 なんや、女性(歌手)がひとりもおらんなあ。私生活と一緒やないか。

イチモト

 ……ボクは、演奏がタイトで声に力があるのが好きなんです。ここに選んだ 10 曲は、こんな事を言ったらノーザンソウルを否定するみたいですけど、「踊るのはもったいない」ような曲ばかりです。ちゃんと聴きたい。聴いて下さい。

オガケン

 大胆な発言ですねえ。問題にならないうちに、次に行きましょう。えーヒラノさん。

ヒラノズ・チョイス

  1. Stick Me Baby  The Salvadors
  2. I Really Love You  The Tomangoes
  3. Stubborn Heart  Ernest Mosely
  4. Nothing Can Help You Now  Lenny Curtis
  5. The Time Is Right For Love  Bobby Reed
  6. I Never Knew  Eddie Foster
  7. Find A Quiet Place  Melvin Davis
  8. You're Thrning  The Soul Shakers
  9. Love Slipped Through My Finger  Sam Williams
  10. Dearly Beloved  Jack Montgomery
オガケン、イチモト、クラタニ

 ほほー。

ヒラノ

 自分の持ってるレコードが多くなったのは、掛けている内に愛着が深くなったというのがあると思う。基本的には自分にとってあの時代を連想させるもの、あの時代に飛んでいけるもの、が選出の基準かな。特に 6 、7 、10 は、その典型やね。1 、2 は僕が考えるノーザン・ダンサーの理想型。3 、5 、9 は、じっくり聴かせる部分も持つ、言わばノーザン歌物の理想型。4 、8 は、ノーザンと言う括りがあろうがなかろうが関係無しに好きな、つまり僕のソウルの趣味を反映したもの。と言ったところですかね。それから、もう一つ付け加えると、ノーザンに関しては、あくまで自分勝手な感じ方やけど、どこかセンチメンタルなところがあるものが好きですね。

オガケン

 ヒラノさんは、いわゆる「ノーザンソウル」にはまる前から、一級のソウルレコードコレクターだった訳ですが。

ヒラノ

 一級なんて言うと鈴木啓志さんに怒られます。それはともかく、Lenny Curtis とか Sam Williams なんかは、昔から大好きやったね。

イチモト

 ヒラノさんは、やっぱり The Salvadors ですかー。

ヒラノ

 そりゃ、そうや。これは欲しい。(市場に)出ているの、見たことないけど。

オガケン

 うーん、それはこれからのソウルサバイバーズ/ソウルチェンバーが楽しみですね。ではリーダー。

クラタニズ・チョイス

  • Anything I Can Do  Will Collins & Willpower
  • She's Wanted  Larry Clinton
  • No One Else Can Take Your Place  The Inspirations
  • Please Stay  The Ivorys
  • I Really Love You  Jimmy Burns
  • Stubborn Heart  Ernest Mosely
  • I Thought You Are Lying  Natural Four
  • Can't We Talk It Over  L. Allen
  • Thanks The Lord For Love  Living Color
  • Suspicion  The Originals
クラタニ

 ボクのも順不同です。なかなか選ぶのが大変で。

イチモト

 っていうか、さっきそこでコソコソ選んでいたじゃないですか! あれだけ、ちゃんと選んでくるように言ったのに…。

クラタニ

 ははは、ごめんごめん。

オガケン

 なんといっても、クラタニくんは、さきほどオパールに置いてあるノーザンのコンピレーション CD を見ながら、選んでいたからねえ。うーん、しかし、そういういい加減な所がクラタニくんの持ち味な訳だし、こうやっていい加減に選んだ方が、かえってクラタニくんらしさが出ているかもしれない。じゃあ、ちょっと聞いてみようか。えー、この Living Color を選んだ理由は?

クラタニ

 ああ、それねえ。昨日うちに(レコード屋から)届いたんですわ、それで昨日聴いていたから印象に残って…。

オガケン

 ……やはり、聞かない方がよかったかな。むむむ、じゃあ、素朴な質問だけど、クラタニくんにとって「ノーザンソウル」とは?

クラタニ

 それはですねえ、人生の応援歌です!(きっぱり)

オガケン

 ええ!? え、演歌?

クラタニ

 例えば仕事で営業にまわっている時、今は不況や不況やと言われているから、どうしても小さくなってしまうんですよ。もう、「すんません」と謝りながら、飛び込み営業をしてまわる感じ。でも、営業車の中でノーザンを聴いているとですねえ、もおおおう、素晴らしい! こんな素晴らしいものに較べたら、営業なんてなんやねん! そんなしょうもない事いちいち気にしてられるか! と力が沸いてきてですね、「まいどー!!」と、めっちゃ自信満々に乗り込めるんですわ。

ヒラノ

 お、なかなかいいこと言うやないか。

イチモト

 うんうん。(ひたすら頷く)

オガケン

 うーん、さすがソウルサバイバーズのリーダー。締める時は締めますね。いや、おみそれしました。ノーザンは人生の演歌、もとい、応援歌だと。まあ、演歌も人生の応援歌ですから。それはともかく、では他の人にも同じ質問をしてみましょうか。えー、ではイチモトくんにとって、「ノーザンソウル」とは?

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