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2005年10月28日(Fri)

ドミノ

Text by BABA

 私だけのスリリングな生きざま。ババーン! マイ・ネームィズ・ドミノ・ハーヴェイ、アイムァ・バウンティ・ハンター、ということで、実話にもとづく別嬪バウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)のお話。

 映画では取り立てて語られてませんでしたが、ドミノの父親はなんと! 『嵐が丘』やら『マラソン・マン』やら、舞台ではシェークスピア俳優として著名なサー・ローレンス・ハーヴェイだそうです。ふーん。

 それはともかく金銭的には何ひとつ不自由しない金持ちお嬢ちゃん、モデルの仕事などしつつ胸中ゴス(goth)でパンクな気分を抑えきれず、「賞金稼ぎ」になるのであった。

 この現代に「賞金稼ぎ」とはよくわかりませんが、そこは野蛮さにかけては世界屈指のアメリカ合衆国なので、いまだこういう職業が成立しているのでしょう。というか、「賞金稼ぎ」って? よくわからないので少し調べてみると…。

 そもそも。アメリカでは逮捕された被疑者が、保釈金を払えば釈放される場合があり、保釈金が高額のとき被疑者は、「保釈保証業者」から借金して保釈金を払うそうです。

「保釈保証業者」という商売が成り立っているのも凄いと思いますけど、『がんばれ!  ベアーズ』(1976年版)でベアーズのスポンサーになったのがこの「保釈保証業者」だった、と記憶しております。

 保釈金は被疑者が閉廷まで逃げなければ返金されますが、そのままトンズラしちゃった場合、「保釈保証業者」は大損なので、「賞金稼ぎ」を雇って被疑者を連れ戻す…というわけでございます。ふむふむ。

 閑話休題。何せ相手が犯罪被疑者ですから「賞金稼ぎ」も荒っぽさが信条、ドミノが所属する「賞金稼ぎ」チームのリーダーはミッキー・ローク、雇い主はデルロイ・リンドー! というゴツい野郎どもの中にあって、元デルモ・ドミノ大丈夫か? そこはエロ仕掛けもつかってタフな仕事をこなし、ベスト・バウンティ・ハンター・オブ・ザ・イヤーにも選ばれるのでした。めでたしめでたし。

 あ、話が終わってしまいましたが、実際この映画が面白いのは「ドミノ・ハーヴェイはいかにしてバウンティ・ハンターになりしか?」を描き出すところまでで、ここんところはトニー・スコット前作『マイ・ボディガード』もビックリのガチャガチャした映像・編集ですけど、半生を素早く紹介するためには我慢するか、と何とか見られましたが、なんと! 驚くべきことに全編この調子! いつまでガチャガチャしとんねん! 『マイ・ボディガード』もひどかったですけど、トニー・スコットMTV風演出が冴えに冴えまくってガチャガチャ大増量、なぜにそこまで? ヤケクソか? 

 しかも脚本はリチャード・ケリー! そう、私がもの凄く嫌いな『ドニー・ダーコ』の人! 虚実とりまぜ時間を意味なくリワインドする才気ばしり方はいかにも『ドニー・ダーコ』の人ですね。

 そういうわけでエッジの効いたフィルムがお好きな、クリエイター系の方に絶大なる自信をもってオススメするのがこの『ドミノ』でございます。滅法カッコいいのかもしれませんが猛烈に眠気に襲われた私なのでした。

 またジェリー・スプリンガー・ショウや、黒人とラティーノの混血=「ブラックティーノ」たちの風俗描写が面白く、めったやたらとカットアップされた音楽はカッコいいし、ビリー・オーシャンの名曲の歌詞がセリフに使われたり『ビバリーヒルズ青春白書』の人が本人役で出演したり、アメリカン・ポップカルチャーをドカンとブチまけているのは面白く、さすがは『ドニー・ダーコ』の人の脚本でございますね。

 字幕は、「字幕の女王」戸田奈津子氏、『The Night of Living Dead』を『死霊のはらわた』と見事に誤訳。『死霊のはらわた』は『Evil Dead』ですけど映画字幕に校正はないのでしょうか? それとも『ザ・ナイト・オブ・リビング・デッド』では字数が多すぎるから? それなら『ゾンビ』(『The Dawn of Living Dead』)でいいのでは? 

 そんなことはどうでもいいのですが、ミッキー・ロークは『シン・シティ』とこの作品で新たな芸風を確立した模様、その他いつものクリストファー・ウォーケン、いつものデルロイ・リンドーよい感じ、いつものトム・ウェイツはさっぱり謎な役柄、エンドクレジットを見て「ギャッ」と驚きましたがジャクリーン・ビセットも出演してますのでオススメです。

(☆= 20 点・★= 5 点)

Comments

投稿者 ローレンスちがい : 2005年11月05日 13:43

はじめまして。
「嵐が丘」と「マラソンマン」に出たのはオリビエです。
ローレンス・ハーヴェイは「影なき狙撃者」のほうです。

投稿者 baba : 2005年11月07日 09:37

ぐわ! ご指摘ありがとうございます。
…思いっきり勘違いしておりました!!!
…なるほど、それで『影なき狙撃者』が登場していたわけですね。…『ドミノ』、面白いやん! バチグンのオススメです。

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