チャーリーとチョコレート工場 [☆☆☆☆]
Text by BABAさあ、世界一オカシな工場見学へ! ババーン! なるほど! 「お菓子」と「可笑し」をかけているわけですな。あっはっはのはー。
ティム・バートン新作、『シザーハンズ』『エド・ウッド』『スリーピー・ホロウ』ジョニー・デップと四たび組み、ロアルド・ダール名作(私は未読)を映画化。ちなみに1971年にもジーン・ワイルダー(『大陸横断超特急』とか)主演で映画化され、その『夢のチョコレート工場』ヴィデオで見たことあり、なかなかに素晴らしかったと記憶しておりますがあまりおぼえていません。
CGなど特撮技術が格段に進歩したおかげもあって、チョコ工場の造形が素晴らしい出来映え、ティム・バートン風味もあふれ、美術・映像が呆気にとられるほど素晴らしく、この『チャーリーとチョコレート工場』でもちょい引用される某作監督スタンリー・キューブリックや、黒澤明の作品同様、強烈なイマジネーションが画面に横溢、映像を見ているだけで陶然たる気分になった私なのであった。
チョコレート工場は、ディズニーランドやユニヴァーサル・スタジオ、マイケル・ジャクソンのネヴァーランドを彷彿とさせるのですけど、そういうファンタジーワールドの残酷さ・気色悪さ・不気味さが見事に描かれ痛快でございます。
最初の方で、ゴールデンチケットを手にした少年少女と付き添いの大人を、ディズニーランドの『イッツ・ア・スモールワールド』風の、唄って踊るお人形さんが迎えます。いきなり火災発生、お人形さんはぐずぐずに焼けただれる! 素晴らし過ぎる! 「甘ーいオカシなファンタジー」を期待した子供連れの父母をして、「…なんか映画まちがったかも? 『妖怪大戦争』の方がマシ?」と後悔させるに充分。私はこれこれ、これですよ! と大いに溜飲を下げたのでした。
その後も、ご家族連れを置いてけぼりにする素晴らしいシーンが続出、わけてもウンパ・ルンパ! この気色悪さは、わざととしか思えません。素晴らしすぎて気が狂いそうでした。あるいは、リス! 少女がリスに襲われ、かじられ、血みどろになればなお最高だったのですけど、そこまで期待するのは酷というものでしょう。ていうか、ああ、私もチョコレート工場見学したい、しまくりたい。ウンパ・ルンパとお友達になりたい…。いやいっそウンパ・ルンパになって一緒に踊りたい…。
今回は原作に忠実に映画化したとのことですが、ティム・バートン的なテーマ、モティーフが展開します。
ティム・バートン=ウィリー・ウォンカ、オタク大王のティム・バートン、オタク趣味こうじて映画を撮りだし『バットマン』監督に抜擢されて順調にキャリアを重ねヒット飛ばして功なり、かつて、“ジョックス(体育会系マッチョ)”“クイーン(チアリーダー)”どもは、ナード(オタク)な自分(たち)をさげすみ苛めたけれども、どうだ見たか! 金持ちになってヘレナ・ボナム=カーターとの間に子供もできたぞ! ジョックスやクイーンを子供と一緒にティム・バートンワールドにさあご招待、恐怖のどん底にたたき込んでやる! と、まあ、そんな映画。って適当です。
食いしん坊(暴食)、何でもほしがる金持ち(強欲)、なんでもいちばんになりたがるヤツ(強欲2)、知識をひけらかすヤツ(高慢)、と、4つの大罪を情け容赦なく成敗、ウィリー・ウォンカ最高! でございますね。
ウィリー・ウォンカの、父との確執と和解は原作にはないものでティム・バートン+脚本ジョン・オーガストのオリジナルのようですが、『ビッグ・フィッシュ』のテーマを引き継いでおります。私の場合、『ビッグ・フィッシュ』はどうにも嘘くさく感じられたことでしたが(こんな感想を持ったのは、どうやら私だけのようですが)、今回は、ドリーマー息子がリアリスト父と、心正しき少年の手引きで和解するという話、プーンと蛇足感ただよって感心しないものの、とにかく! ウンパ・ルンパとチョコ工場が素晴らしいので大丈夫でした。モヤンモヤンモヤーンといきなりウィリー・ウォンカの回想に入るのも可笑しいですし。
その他、素晴らしいシーン山盛り、CG臭さが極力抑えられた特撮もお見事、実写とCGを違和感なく融合させるためか、チャーリー以外の4人の子供が妙にCG臭いのも妙な感じ、微妙に諸星大二郎とか古賀新一とか伊藤潤二のマンガっぽい不気味さただよってきっとお子様にもご満足いただけるはず、ご家族連れにピッタリ、バチグンのオススメです。
☆☆☆☆(☆= 20 点・★= 5 点)
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Comments
投稿者 baba : 2005年09月21日 11:13
>『シザーハンズ』『エド・ウッド』ジョニー・デップ
『スリーピー・ホロウ』が抜けておりました。
こっそり修正しました!