Movie Review 1999・9月19日(SUN.)
アナザー・デイ・
イン・パラダイス
『KIDS』のラリー・クラーク監督の新作。インデペンデントな印象があるが、『サルバドル』のジェームズ・ウッズ、最近では『セレブリティ』に出ていたメラニー・グリフィス、おまけにノンクレジットのようだが最近では『ビッグヒット』の悪役が印象的だったルー・フィリップ・ダイアモンドが気色の悪い役で出演、という具合にボクのような「ミニシアター系」映画が苦手な者も楽しく見ることができる配役。主演の、いっぺんには憶えられない名前の新人俳優も常にだらしなく笑みを浮かべているところがジャンキーっぽくて良い感じだ。
ジャンキーのチンピラカップルが、中年ジャンキーに拾われてコソ泥しながら旅をするというコンパクトな話で、『KIDS』よりも物語がルーティンに乗っ取った了解済みのものであるだけによりラリー・クラークの演出力、出演者の演技、撮影の素晴らしさに目が行く。
撮影はつい最近の『ムーンライト・ドライブ』も担当していたエリック・エドワーズが『KIDS』に続き担当。ガス・ヴァン・サントの『マイ・プライヴェイト・アイダホ』なども担当しており、アメリカのカラッとした空気感、裏さびれたモーテルの雰囲気などが共通したタッチか。
拳銃を撃つシーンをいかにリアルに撮るか、というのは一流の監督の重要な資質だと思うのだけれど、最高にクールです。ともかく、死体の撮り方、セックスの撮り方、暴力の撮り方などなど次から次へとビシビシ決まり、見ていて非常に気持ち良いものであった。音楽がちょいと甘ったるい気がするが、殺伐とした光景にはこれくらいが良いか。
BABA Original: 1999-Sep-19;