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Movie Review 1999・10月14日(THU.)

ディープ・ブルー

 海上研究施設に閉じこめられた男女が、遺伝子操作でお利口になった鮫に追っかけられつつ脱出できるか? という、『ジョーズ』、『エイリアン』、『アンドロメダ』などのおいしいところをつぎはぎした底抜け超大作。

 監督はレニー・ハーリン。『ダイ・ハード 2』、『クリフハンガー』、『カットスロート・アイランド』という具合で、フィンランド出身ながらも底抜け超大作が世界一得意な監督だ。しかし一方であまりの不入りに美松映劇では一週間で上映打ち切りになった『フォード・フェアレーンの冒険』という傑作小品(傑作と思っている人は少ないと思うけど)があるし、前作の『ロング・キス・グッドナイト』は、普通の主婦が実はメチャクチャ包丁さばきがうまかった…という P ・K ・ディック的な物語で、脚本が良かったおかげもあるのだろうけどボクは名作と思っている。でも『ディープ・ブルー』のパンフを読んでいると「R ・ハーリン、この映画で復調…」という論調なので、『ロング・キス・グッドナイト』も一般的には評価が低かったりするのだな。面白いと思うんだけどね。

 ともかくどっちにころんでも R ・ハーリンは爆発シーンで普通の 100 倍くらい火薬を使ってしまう傾向があり(製作費も常にとんでもない額にのぼる)、とりあえずいつも「うひゃーっ」とビックラこけるシーンがあるので常に一見の価値ありの監督です。この『ディープ・ブルー』も爆発シーンはすさまじいし、水の量もハンパぢゃない。見せ場はたっぷりです。

 限定された空間に閉じこめられた男女を殺人マシーンが襲うという映画の場合、誰がどういう行動を取ったときに罰せられるか? というきわめて倫理的な問題がたちあらわれてくる。この映画の男女の構成は、アルツハイマー病の治療に人生をかけている女性研究者、よくわからないけれどとりあえず天才らしい科学者、スネにキズ持つタフガイ、信心深い L ・L ・クール・J のコック、サミュエル・L ・ジャクソンの実業家、粗忽な小心者、とりあえずすぐ死ぬだろうな、という者数人、など。さて、誰が生き残り、誰が死ぬでしょうか? とりあえず粗忽な小心者、世間をなめた科学者が死ぬのはまあ、おおかたの予想通りの展開なんだけど、何人かの死に方はとんでもないものなのでオススメしておきましょう。大笑いできます。

 しかし、人物の描き方がぺっちゃんこで、観客の感情移入を許さないため、誰が死のうが生き残ろうが、ホントどうでもいいって感じでスリルもサスペンスもサプライズもヘッタクレもないですね。って最近のこの手の映画はみんなそうなんだけどね。誰がどのように死ぬかを楽しむだけの映画なのには困ったものだ。ウソ。ホントは大好きです。鮫が人間をかみ砕くところが見れますよ! 好き者は映画館へ GO !

BABA Original: 1999-Jan-14;

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