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Movie Review 1999・11月11日(THU.)

WHO AM I?

 命がけで最高の映画を作り続けるジャッキー・チェンの、『ラッシュアワー』直前に香港で完成させていた作品だ。しかも久々に監督も兼ねている。『ラッシュアワー』はさすがはアメリカ、それなりの高品質の演出で J ・チェンの特質もそれなりに生かされた傑作だと思うが、スタントを見ていても、どうも安心しきってしまう。ソツなく仕上げられているため、「こいつ、ヘタしたら死んどるで」という危うさが稀薄なのだ。

 その点、『WHO AM I ?』はしょぼい CG 、適当に集めて来た脇役などバッタモン臭さがプンプン漂っており、それがゆえ J ・チェンのアクションが強烈に輝いている傑作だ。…っていうかジャッキーの映画はすべて傑作なんだけどね。

 ジャッキーはお約束の「ジャッキー」という役名で、秘密の特殊工作員として登場。なんか、隕石から核物質並のエネルギーを取り出す研究にまつわるよくわからない陰謀に関わり、記憶を失ってしまう。前半の舞台はアフリカで、現地の住民に発見されて「WHO AM I ?」と言ったところ、それが名前と勘違いされてしまったり。さながら『世界ウルルン滞在記』のごとくジャッキーが現地の住民と交流するとか、『不夜城』の山本未来があいかわらず野放しの演技を披露したりとか、ラリーカーでぶっ飛ばしたりと見どころ満載ではあるが、いかんせん広大な母なる大地が舞台では J ・チェンのいいところが充分発揮されず。

 なんでもプロダクション・ノートによると、ジャッキーが満身創痍でサイを乗り回したのだが、カメラにフィルムが入っておらず撮影に失敗したとか。怒り心頭に発したジャッキーは 2 日間誰とも口を聞かなかったらしい。ジャッキー可哀想過ぎるぜ! そんなこんなで落ち込んだのか、前半はどうも元気がない。がんばれ! ジャッキー。

 しかし後半、舞台がロッテルダムに移ってからはジャッキー節が全開だ。しかも今回はカンフーの達人 2 人との長時間バトルあり。「あんたは『未来少年コナン』か!」とツッコミを入れたくなる死ぬ気満々のスタントもありだ。これまたお約束のエンドタイトル NG 集では映画に命をかけるジャッキーの心意気に涙を禁じ得ない。ジャッキー最高!

(なぜか河原町ではやっておりませぬ。久御山イオンシネマへどうぞ。)

BABA Original: 1999-Nov-11;

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