Movie Review 1999・8月12日(THU.)
ハイ・アート
主人公の女の子は「フレイム」という写真雑誌の野心あふれる若き編集アシスタント。「あたし? あたしは最近はフーコーとかラカンとか読んでるの。おもしろいわよ。クリステヴァもいいわね。あなたは? ドストエフスキー? それも知的ぢゃない!」などとぬかす、彼氏ならずとも逃げ出したくなる感じ。アパートの上に伝説の写真家が住んでましてこの女流写真家がレズビアン。ファスビンダーと知り合いだったらしいドイツの女優と同棲してるのだが、これがドラッグ漬けで少々愛想をつかしているところにキャピキャピの主人公が現れたもんで、仲良くなったりなんかして。女流写真家は部屋に自分の撮った写真を飾っているのだが、それを見た主人公が、「素晴らしいわ。構図や光線の具合は計算され尽くしているのにまるでスナップ写真のように自然ね」とかこそばゆくなるような賛辞を送られ、「フレイム」の表紙にどうか、という話になったりして。
題名が「高尚なアート」、こんなお話で、すかした映画かと思えば、うわついたアート談義を小馬鹿にしているようなところもあってそんなに悪くない。むしろおもしろかった。
さすがに写真・写真家にまつわるアレコレを描く映画ということもあって撮影がすこぶるよろしい。ラリー・クラーク風? 惜しいのは、のべつまくなし鼻からクスリを吸っているアーティストというのも手アカがついた感じ。もっとなんとかならぬものか。ニューヨークのアーティストってのはいまだにクスリ漬けなのかい? ま、超・退屈に思う人もいるでしょうが、ハイ・アートな雰囲気にひたりたい、「ブルータス」とかついつい読んぢゃう人には超オススメ。
BABA Original: 1999-Aug-12;