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 Movie Review 2005年6月27日(Mon.)

50回目のファーストキス

 記憶をなくしてしまう自分に、絶対伝えたいこと。ババーン! 主演作すべて傑作ぞろいのアダム・サンドラー、って、そう思っているのは私だけかも知れませんが、それはともかく名作『ウェディング・シンガー』の名コンビ、ドリュー・バリモアと再び共演。

 アダム・サンドラーはハワイのプレイボーイ、水族館ではたらく獣医、ある朝、カフェーでドリュー・バリモアと出会って意気投合、明日もここで一緒に朝食とりましょ! と約束、これって恋? 浮き浮き! の2人なのであった。

 さて翌朝。アダム・サンドラー、浮き浮きとカフェへゴー! お! 彼女発見! 「昨日はどうもどうも」と同じテーブルにつこうとすると、ドリュー「はぁ? もしもし? ことわりなく座るなんて、なんちゅう図々しいヤッちゃ!」と突っ慳貪、他人行儀。はてさて? どうも演技ではなさそうだし…。

 さてここで問題です。ドリュー・バリモアはなぜ、アダム・サンドラーに一度も会ったことがないような態度をとったのでしょうか?

 答え:宇宙人の実験でフォーガットン状態だった。

 …というのはウソ。いや、フォーガットンなのは本当、彼女は交通事故にあって以来、短期記憶が保存されない記憶障害なのであった。ババーン! 事故までの記憶はしっかりあるのに、新しい1日の出来事はすっかり忘れる1日『メメント』状態、しかしそれでもアダム・サンドラーは果敢に毎日、アタックし続ける…というお話。

 彼女の家族から「ドリューに構うな!」と言われてもあきらめきれず、アダム・サンドラーは毎日毎日、彼女との関係を初対面から始めて、昨日よりは今日、今日よりは明日、と、少しずつ少しずつより深い関係を築けるようアレヤコレヤ策略・工夫(トンチ)をはたらかせるのが面白く、また策略・工夫の裏をかく逆説のトンチも素晴らしく、かつ感動的です。

 ところで女心と秋の空、恋する男子なら誰しも、彼女がいきなり他人行儀に豹変してうろたえた経験があるのではないでしょうか? 男子は毎日、新しい恋を始める心構えで彼女に接しなければならず、そうすれば毎日ファーストキッスの感動を味わえてロマンチックは永遠に続く。ここには『きみに読む物語』のジェームズ・ガーナーに匹敵する、恋する男子の理想の姿が描かれているのであった。

 これは見方によっては、はかなく悲劇的な恋、それをトンチでコメディに、そして永遠の恋に転化していくアダム・サンドラー最高! と、私は茫然と一人ごちたのでした。

 アダム・サンドラーとの相性はバチグン、ドリュー・バリモアがベストの演技、もーたまらん! って感じで超かわいく、またサム三部作『ロード・オブ・ザ・リング』のサムことショーン・アスティンが、ドリュー・バリモアの間抜けな弟を好演、ペンギンとかトドとかも名演技を披露、一見の価値ありです。

 ラストもかけ値なしに見事なハリウッド・エンディング、どなた様も茫然と感動しつつ幸せな気分で劇場を後にできるかと存じます。近年まれに見るロマンチック・コメディの傑作、バチグンのオススメです。

☆☆☆☆(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2005-Jun-26;