オパール映画ベスト 10　2003　Vol. 4: Cafe OPAL レビュー

Movie Review　2004・1月4日（SUN.）

オパール
映画ベスト 10　2003
Vol. 4

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オイシン: さてー、いよいよベスト 2 の発表です！　新年早々盛り上がりは最高潮です！　ああー早く知りたい！
BABA: 盛り上がってるのはオイシンだけ？　みたいな。

2 位『HERO』

オガケン：1 位　BABA：4 位　ヤマネ：5 位　…（23 点）

ヤマネ: 完璧な美しい映画でしたね！
BABA: 僕はチャン・イーモウ好きですからね。昨年は『キープ・クール』も見られたし、チャン・イーモウ・イヤーでした。
オガケン: ハリウッドの美意識を凌駕してますよね。異質というか。独自の美学が貫かれ、鮮やかな色の洪水がスクリーンに溢れる。気持ちいいです。
BABA: CG を使いまくっていても、美意識が高いから『マトリックス』みたいにならないのがよいです。
オイシン: 3 回見ました！
ヤマネ: あれ、オイシンこれも 3 回見たん？　見過ぎちゃうかー。
オイシン: 『キル・ビル』も 3 回見ましたが、僕のベストワンはやっぱり『HERO』です！　ドニー・イェン最高！　『ワン・チャイ』も見ました。最高です！
ヤマネ: オイシンに言われると嬉しくないなあ。ていうか発言しないでください。でも最初の雨の中でのジェット・リー VS ドニー・イェンのシーンが一番いけてるからねえ。気持ちよすぎ。
オガケン: 「もう一曲頼む」とかいって戦闘に入るでしょう。あそこでクニトモさんなんかは、なんやねん、それ、と思ったらしいよ。一気に白けたらしい。あそこでグッと盛り上がれるかどうかで、この映画に入り込めるかどうかが決まるんじゃないかな。まあ本当はアクション主体の映画じゃないけど。
ヤマネ: 僕は当然、やった、もう一曲！　と思いましたけど。二人のアクションをいつまでも見ていたいですもん。その点『シャンハイ・ナイト』のジャッキー・チェンとドニー・イェンの夢の対決シーンはあまりにもあっけないですよね！
BABA: あれはひどい！　短いにもほどがある。
ヤマネ: 全部で一分ぐらいですか。あそこの対決だけで映画一本撮ってくれてもいいのに。ジャッキーが動きについていけないんでしょうけど…。
BABA: うーむ。『HERO』はその点、じっくり見せてくれるのがいいです。
ヤマネ: チャン・ツィイーのやられっぷりもスゴイかったですね！　出てきてはやられる。ショッカーの戦闘員みたいでした。ところでこの映画、大中国の言うことを素直に周りはきいておけばええんです、という内容にも思えたんですがどうなんでしょう。
オガケン: そういうことでもないんじゃない。そもそも秦の始皇帝というのは、シナに法治主義を持ち込んだ人らしいんですよ。ま、シナは、今の中華人民共和国に至るまで、人治主義でしょ、基本は。つまり、独裁者がいいやつなら善政、悪い奴なら悪政、という。が、それではいかん、と。いくら始皇帝が無名（ジェット・リー）のことを気に入ったとしても、法を守って殺さなければならない。独裁者の私情は許されない、それが法治国家だ！　というメッセージがある訳じゃないですか、この映画には。ラストシーンは完全にそう。これは…
BABA: アメリカへの牽制ですな。
オガケン: だと思います。国際法を完全に無視して、世界に徳政をもたらす正義の味方気取りのアメリカに対してのね。
ヤマネ: うーん、この映画までイラク戦争に関係あるとみるんですね　…。
オガケン: それが同時代性というものだよ、うん。なんてね。…あ、そういえば『ラストサムライ』のラストが、『HERO』と対照的で、また興味深かったんだよねー。
ヤマネ: どういうことですか？

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番外編　ラストサムライ

オガケン: いや、ラストでさ、明治天皇が、臣下の大村が止めるのもきかず、廃刀令を破るじゃない。…ま、あれが廃刀令を破ることになるのかどうか、微妙だとは思うんだけど、映画ではそう描かれていたじゃない。あれは、人治主義だよね。君主が、情を重んじて法を破ってしまうの。で、また日本人はそういうのに弱いんだよなー。もしあそこで、法を守って、刀を受け取らなければ、観客はみんな怒ったと思うぞ。酷い！　とか言って。あえて法を破ることによって、なんて情に厚い、いい君主さまなんだ、と思うわけ。
ヤマネ: ふーん、じゃあ、チェン・カイコーが『HERO』を批判して、始皇帝を肯定的に描くなんてけしからん！　と怒っていましたが、チェン・カイコーは人治主義者なんですかね？
BABA: あれは、自分の『始皇帝暗殺』より『HERO』の方がヒットしたから腹立てたんじゃないかなー。
オガケン: 人治主義がいいか法治主義がいいか、というのは、簡単にはいえない問題だと思うけど。でも、アジアは基本的に人治主義だよね。前近代だから。うーん、でも、映画の中の重要人物が示した判断が気にくわない、という理由でその映画を嫌う人っているよね。僕はよく分からないんだけど、その感覚。
オイシン: あ！　僕はそうです！　もうねー、『北京ヴァイオリン』で主人公が最後にとった決断が納得できなくて。
ヤマネ & BABA: えー！！　なんでや、あれは素晴らしい判断だったぞ！！
オイシン: そうですかー？　僕はもう、なんでやねん！　アホか！　とむかつきましたけど。
BABA: ……やっぱりオイシン終わっている。
ヤマネ: 終わっている人とは話が合わないですねー。『北京ヴァイオリン』は最高でした！
BABA: 最高！　大泣き。…あ、ベストテン入れるの忘れてた！　あ！　『過去のない男』も忘れてる！　『人生は、時々晴れ』も！　…僕も終わってます。それはともかく、2003 年は「チャンバラ」がポイントでした。『HERO』も『キル・ビル』も『座頭市』も『ラスト・サムライ』も。チャンバラの時代到来！　かな？
ヤマネ: ！！　僕は「電話」がポイントの一年だったと言おうと思ってたのに…。『フォーン・ブース』に『コール』、『着信あり』…と。…。チャンバラに負けてませんよね！
BABA: 『着信アリ』はまだ公開されてないし。
ヤマネ: どて。話は『シャンハイ・ナイト』に戻しますけど、ジャッキーはいいんですが、あのオーウェン・ウィルソンって腹が立ちません？　名前がオーソン・ウェルズに似てるのに全然つまんない！
BABA: ははは。全然似てないやん。でもオーウェン・ウィルソンの出ていない場面はめちゃくちゃ面白かったね。
ヤマネ: 『アイ・スパイ』でもエディー・マーフィーの相棒として、映画の価値を下げてくれてましたよね。
BABA: オーウェン・ウィルソンは 2003 年一番いらんかったヤツで決まり。

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1 位『ブレッド & ローズ』

オガケン：4 位　BABA：2 位　ヤマネ：3 位　…（24点）

BABA: 2003 年のベストは『ブレッド & ローズ』！　渋い。
オガケン: この 3 人だと…分かるような、意外なような。
ヤマネ: 燃えました！
オガケン: やっぱりケン・ローチは素晴らしいね。クールに撮っているんだけど、中身は熱い。内部でマグマが燃えていて、それが所々噴出しているって感じ。
BABA: 当然ある意味プロパガンダ映画なんだけど、逆の立場からの意見も取り入れているし、単純ではない。イデオロギーはしっかりしているんだけれども、捕らわれているわけではない、と言うか。そういえば『セプテンバー 11』という映画で世界中の有名監督達が短編を撮っているんだけど、ケン・ローチのがやっぱりいちばん面白かった。
ヤマネ: 今村昌平のは意味わかんなかったです。
オガケン: 今年はそれら以外にも『ナビゲーター』『スイートシックスティーン』と、計 4 本もケン・ローチが公開されたじゃないですか。僕は『ブレッド & ローズ』しか観られなかったんで、それに全てを代表させた、という感じなんですけど。
BABA: 僕は全部観ましたよ！　中でも『ブレッド & ローズ』が一番良かった。にしても、今年は何年かぶりのケン・ローチ・イヤーだな。
ヤマネ: いやー、タイガース・イヤーでしょう。
オイシン: ヤマネさん、お約束ですね。
ヤマネ: ははは。そやね。…ってなんでオイシンにツッコまれなあかんねん！　他に何があるっちゅうんや、むきー！
オイシン: タ、タイガース・イヤーです！
ヤマネ: よし。お帰りください。…。さて、静かになったところで他の話題作についてはどうでしょうか。
オガケン: そういえば去年の年始に 2003 のナンバー 1 予想だった『アンダルシアの夏』はどうだったんですか。二人とも入れてないけど。
BABA: 面白かったですよー。面白かったんだけど…
ヤマネ: 現実のレースに比べたら…。
BABA: 残念ながら現実のほうがずっと面白いんだな。にしても去年のヴェルタ・エスパーニャは凄かった！　ホンマにドラマティックやったなー。
ヤマネ: ツールも例年以上に接戦で面白かったですしね。タイガースも例年以上に素晴らしかった。ひょっとしてまだ知らない人のために言っておきますけど、18 年ぶりに阪神は優勝したんです！　ワーイ。そうそう、『ファインディング・ニモ』は素晴らしかったですよね！
BABA: 相変わらずピクサーはいい仕事しますなー。水の中の表現なんかメチャクチャきれいやし、魚のキャラもたちまくってる。間違いなく親子アニメ映画史上、最高の魚ムービーだな。
ヤマネ: なんか範囲が狭いような気が…。まあいいや。ところで BABA さん、『スカイ・ハイ』はどうでしたか。
BABA: ははは。見逃した。
ヤマネ: な、なにいぃぃ！　秋口に「今、一番楽しみにしているのは『スカイ・ハイ』とか言ってたじゃないですか。そのせいで興味も無かったのに見に行ったのに…。
BABA: ははは、どうだった。
ヤマネ: …聞かないでください。面白かったといえば、『ボーン・アイデンティティ』とか『アイデンティティ』とか『アイデン & ティティ』とか良かったですね！　特に『ボーン・アイデン & ティティ』は渋くて格好良いアクション映画で実はお気に入り。
BABA: タイトル混乱してるし。マット・デイモンもきびきび動いてたし、設定の無茶も楽しめました。
ヤマネ: 『アイデンティティ』のドキドキ感もかなりのものだったでしょう。ラストまでどうなるのか解らないし緊張感の持続がうまい。そういえばトモコさんのベストは何だったんですか。
トモコ: さてなんでしょう。それは「け」がつくわよ！
ヤマネ: あれれ、『キル・ビル』、じゃないんですか。…あ！　アメリカ人の発音を聞くと『ケル・べル』と聞こえるか…？
トモコ: 『キル・ビル』だと当たり前すぎるじゃない。ほらほら、「け」ですよ。
ヤマネ: わかった！　『K 19』ですね！　あの映画もなかなかの秀作でしたね。原子力の怖さが割とリアルに表現されていたし、当時のソ連海軍の悲しい雰囲気がうまく出ていましたよ！　違います？　あ！　『ケロッパ！』ですか！？　しまったー、僕見逃したんですよね。
BABA: …『ケミカル 51』ですよね。
トモコ: ぴんぽーん。最高でしたわよ、オホホ。
ヤマネ: …。『K 19』も、最初に「け」がついて数字で終わるのは当たってますやん。
トモコ: ポーのワーストも聞いてあげてください。
ヤマネ: それじゃひとつ。えー、コホン。ポーさん、2003 年のワースト映画は…
ポー: 『マトリックス・リローデッド』！？
ヤマネ: 「！？」　って…。わかりました。あれだけカンフーアクションに精通しているポーさんからみても『リローデッド』はつらかったと、そういうことですね。ちなみにショウヘイ君はどうですか。
ショウヘイ: うーん。ベストは『キル・ビル』かな。他には今年どんな映画があったかな。一番ダメだったのは『バトル・ロワイヤル 2』やけどね。最近は DVD で借りてきて観る映画とかが多いので、どの映画がいつ公開されたものかが解らなくなってしまってる。
オイシン: 僕は最近『乱』をビデオでみたんですけど、メチャクチャ面白かったです！
BABA & ヤマネ: な、何いぃぃ！　
BABA: オイシンの口から「『乱』が面白い」という言葉を聞けるとは…。
ヤマネ: 時代も変わりましたね。
オガケン: さて 2004 年、今年の注目作とかってありますか。
BABA: 『ミスティック・リバー』で決まりでしょう！
オガケン: クリント・イーストウッドの新作ですね。これは確かに楽しみです。 2004 のベストは堅いでしょうか？
トモコ: 『キル・ビル Vol. 2』もありますわよー。
ヤマネ: そうですね、『ハウルの動く城』も今年でしたっけね。『ロード・オブ・ザ・リング　王の帰還』も楽しみにしてますけど、なんといっても楽しみは『ミスター・ルーキー 2』！　…とかあればいいなあ！
BABA: 2 になったらもうルーキーちゃうやろ。
オイシン: ははは。次は『ミスター・ベースボール 2』！　ですよ。
ヤマネ: そんな中日の二番煎じなんかまっぴらゴメンだい。やるならこれだ、『ミスター・タイガース劇場版　甲子園の奇跡　トラッキー危機一髪！』これでハム太郎にも勝てる。戦う相手を間違えていますけど。
オガケン: じゃあ今年もみなさん面白い映画に沢山出会えますように！　その後はオパールも宜しく！
全員: はーい！