メイド・イン・
マンハッタン
ホテルのメイドさん(ジェニファー・ロペス)と、未来の大統領と噂される金持ち二世議員(ジョセフ・ファインズ)、出会うはずのない二人のラブロマンス、貴女にもきっと、恋がチェック・イーーン! ババーン!
J ・ロペスはシングルマザーで、息子から、「サイモンとガーファンクルはどうしてコンビを解散したの?」と問われて、「Google it in the school!」と答えます(戸田奈津子氏の字幕では“インターネットで調べなさい”だったかな?)。アメリカでは、日常の親子の会話にサラリと“Google”が登場するんですなー、ふーむ。
という余談はどうでもよく、『ローマの休日』など、何度も繰り返し映画になってきた、身も蓋もない「身分違いの恋」という題材で、まったくアメリカ映画のネタの貧困さには呆れ返るばかり、ではありますが、監督は『スモーク』『ブルー・イン・ザ・フェイス』の“中国系 in NY”=ウェイン・ワンだ! ババーン! 様々な階層・民族が同居するニューヨークの雰囲気なかなかよろしく、「そんなうまいこと行くわけないやろ」とツッコミつつも、ついついロマンチックな気分になってしまった私でした。
議員候補がメイドさんに惚れるという、あり得ないことが起こるのは、たまたま J ・ロペスが客の上等なコートを着ていたからです。メイド姿の J ・ロペスは、議員候補の目をまったくひかなかったことが、ちゃんと描かれており、ケン・ローチ『ブレッド & ローズ』の掃除婦たちと同じように、メイドもまた都市の“透明な存在”なのであります。
また、J ・ロペスは、下働きのメイドから、マネージャーへの昇進を目指します。ロペスの母親が「そんな、スペイン移民の子がマネージャーなんかなれるわけないやん。おとなしく、ビルの掃除婦やりなはれ」、ロペス「掃除婦には未来がないのよ!」と台所で口論するシーンも、ちょっと『ブレッド & ローズ』を彷彿とさせますね。
そんなことはどうでもいいのですが、老執事ボブ・ホスキンスが、ホテルマンの魂を「我々は、人に仕えるが、召使いじゃない」と語ったり、警備員の黒人のおっさんがいい味出してたり、と、普通の映画では“透明な存在”であるホテルマンたちにスポットをあてる、ウェイン・ワンの視点が気色いい、と一人ごちました。
そうそう、J・ロペスの息子が、何故かニクソンのファンで、「ニクソンは嘘をついたが、もし嘘をついた人を許さなかったら、政治家や議員はいなくなっちゃうよ」と語り、米中国交樹立の功労者ニクソンは、やっぱりウェイン・ワンみたいな中国系の人には人気があるのかな? どうでもいいですが。
それはともかく、ジェニファー・ロペス、貧乏移民の娘なれど、ドルチェ & ガッバーナのコートをバッチリ着こなすメイドという、ぴったりの役どころを得て、久々にの魅力炸裂。オススメ。
☆☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)
BABA Original: 2003-Jun-4;