ゴジラ×メカゴジラ
金子修介監督による前作『ゴジラ モスラ キングギドラ大怪獣総攻撃』は映画史に燦然と輝く傑作だったので、どうしても見劣りするのは否めないのですが、これはこれで面白ございました。ますます「政治映画」の色合いを強める『ゴジラ』シリーズですが、今回は、自前の防衛力(軍事力)を日本が持つことは可能か? という今日的な問題を問うております。
またまた一作目以外の『ゴジラ』映画はなかったものとしてリセットされます。1999 年、ゴジラは再び関東地方に上陸、多大な被害をもたらします。芹沢博士が開発した“オキシジェン・デストロイヤー”の製法は失われ、“メーサー砲”ではゴジラを倒せなかった苦い教訓から、新たな対ゴジラ兵器を開発せねばならぬ。それは、ゴジラ型巨大ロボット:「機竜」=メカゴジラだ! 日本を代表する科学者たちと、特生自衛隊(対特殊生物自衛隊)の熱い挑戦のドラマが始まります。プロジェクト・エーーークスッ!
と、日本人が自力で災厄に立ちむかうという、一作目の図式を発展させたものとなっております。今回メカゴジラとの戦いを通じてゴジラは、国家のために奮闘する優秀な技術者と、国のためには命を惜しまぬ自衛隊員が日本に存在することを目撃します。「太平洋戦争で南海に散った戦士達の霊が凝ったもの」であるゴジラは粛々と、「日本もまだまだ捨てたものではない」と安心したかのように海へと帰っていきます。
そういう概略は面白いのですが、細部が貧弱なのですね。開発秘話を『プロジェクト X』風にもっとふくらませ、自衛隊員の訓練を『トップガン』風に丁寧に描いておれば前作に優らずとも劣らぬ傑作になっていたことでしょうに。脚本にもうひと踏ん張り欲しいところ。
また、メカゴジラの初出撃シーンは、巨大ロボットアニメの極北(何?)『新世紀エヴァンゲリオン』を参考にしており、メカゴジラが暴走しちゃうとか工夫の跡が見られ思わずあったかい気持ちになりました。が、メカデザインがもっさくてショボーンとします。この辺も惜しいところ。
また、メカゴジラを操縦する自衛隊員に釈由美子を配し、クールに任務を遂行するその姿はバチグンにカッコいいのですが、中年技術者との淡いロマンスを描くというのは、劇場にお越しのお父さんへのサービスなのでしょうけど違和感ありありでございます。
ていうかー、ストーリー的には別にゴジラ型巨大ロボットにする必然性が全然ないじゃん? なぜメカゴジラをわざわざ登場させるかというと人気キャラだからで、子供さんのためにも「怪獣プロレス」が必要だから、との配慮でしょうが、「なぜ今メカゴジラなのか?」「メカゴジラとは何か?」という根本の突き詰めが甘いのではないでしょうかーーっ! ってどうでもいいですね。
ともかく、前作についで現代日本を鋭く照射する政治映画『ゴジラ』シリーズは必見のオススメでございます。
☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)
(BABA)