リターナー
『ジュブナイル』の山崎貴監督の新作です。『ジュブナイル』は、若干困ったところはありつつも、香取慎吾好演もあってなかなか面白かったので少し期待していたのです。山崎監督は、「白組」という特撮会社出身で、特撮の使い方がよくわかっておられる。アッと驚くカッコいい SFX シーン満載の上、自身で書かれた脚本も、キチキチと伏線を張って律儀に拾っていく良くできた話。それと、わざわざ『ジュブナイル』と題するくらいなんで、SF ジュブナイル・テイストが炸裂。
アメリカ映画ならディズニーに SF ジュブナイル映画の伝統があるけれども、日本なら…大林宣彦監督作くらいでしょうか? 『時をかける少女』『漂流教室』などの大林作品は、ロマンチックでナイーヴな大人の方は大喜びでしょうが、邪悪な子供にとっては少々物足りない。特撮がカッコよくないのですね。その点、『ジュブナイル』は、イカした特撮満載で、子供さんも大喜びではないでしょうか?
『リターナー』も、ジュブナイルテイスト満載です。人類絶滅の危機に瀕する未来から、少女が歴史を変えようとやってきて、金城武の裏街道野郎とどうこう、という、『マトリックス』の影響を受けた朝日ソノラマ文庫、というおもむき。適当。
今回も最新 SFX の成果がバンバン導入されており、「おお、日本映画でこんなカッコいい特撮が見れるとは!」…と感無量。「加速装置」によって普通の 20 倍(だったかな?)の速さで動く人の表現は、そこらへん(何処?)のアメリカ映画を充分凌駕しておりますね。クライマックスの、爆発の破片をポンポンポーンと飛び移って…というシーンもバチグンのカッコ良さ。ええもん見させていただきました。
さらに、今回は岸谷吾郎の冷酷無比な悪役ぶりや、金城武がバンバン人を殺しまくるところなど、「SF ジュブナイル」を超えようとの意図が見受けられ、それがまた子供さんには大ウケです。よく知りません。
タイム・パラドックスを考え出すと「これはどうか?」と思わないでもないですが、脚本がうまくて最後はシンミリしちゃいました。エヘ。オススメでございます。
☆☆☆★(☆= 20 点・★= 5 点)
BABA Original: 2002-Jan-22;