able/エイブル
アリゾナに住むキャサリンとマーク夫妻宅に、「知的障害」をもつ日本人少年二人がホームステイにやって来ます。キャサリンは障害者支援の活動をしていますが、障害についての知識はあまりなく、ホストファミリーに志願したはいいけれど不安が一杯。やってきたのは、17 歳・自閉症のジュン・タカハシと、19 歳・ダウン症のゲン・ワタナベ。果たしてキャサリンとマークは、ジュン、ゲンと暮らしていけるのでしょうか? ババーン! …というドキュメンタリー。
障害者の社会進出を促すための、アメリカの諸制度やボランティア活動を見て、「やるじゃんアメリカ!」と私は感心したのでした。…って、日本の状況がどうなっているのかよく知らないんですけどね。アメリカの高校では障害者に触れる活動が義務づけられているとか、障害者のスポーツ振興をめざす「スペシャルオリンピックス」が活発に活動しているとか。日本もガンバレ! …って私は何もしていないんですけどね。
それはともかく、ゲンとジュンが圧倒的に素晴らしいのです。一挙一動に感動しっぱなしですねん。二人はスペシャルオリンピックスで初めてのバスケットボールに挑戦します。バスケとは一体どういうモノかを十分解せぬが、懸命に奮闘する二人の姿に私は爆笑と感動の涙を禁じ得なかったのでした。ゲンとジュン最高! まあ、普段、障害者と直接触れあう機会を持たない者ですから無責任に言えるのですけど。スイマセン。
キャサリンとマークという、いかにも人の良さそうな夫婦がまた良いのです。彼らが一生懸命英語で話しかけても、ゲンとジュンは、はにかんで微笑むのみでしたが、少しづつコミュニケーションが成立していく。ついにゲンが英語で挨拶を返す。「ゲンが“Good Night”と言ったのよ!」と大感激で夫に報告するキャサリンさんの姿に、私はまたも感動の涙を流し…って、私、素直すぎですか? いや、ホントいいんですよー。
「able」とは、障害者もゆっくりとではあるが、バスケも出来るようになるし、英語も出来る能力を持っている、との意であるとともに、今まで障害者と直接触れあったことがなくても、誰でも障害者といい関係を築くことが出来る、という健常者の能力でもあるのですね。「私もボランティアやってみようかしらん?」とガラにもないことを考えつつ日常に埋没していくのであった。
ドキュメンタリー製作のために設定された特別のホームステイであり、バスケしたり乗馬したり、イルカを見に行ったり気球に乗ったりと、何か楽しいことばっかりしてるなあ、とか、ポジティブな面ばかり強調されていますね? と思わないでもないですが、ジュンとゲン、キャサリンとマークの顔を思い浮かべるだけでジワーンと胸が熱くなる傑作でございます。バチグンのオススメ。
☆☆☆☆(☆= 20 点・★= 5 点)
BABA Original: 2002-Nov-26;