モデルカップル
『ポリー・マグーお前は誰だ』『ミスター・フリーダム』の、ウィリアム・クラインによる 1976 年の旧作がミニシアター系ではありますが、キチンと商業ベースで単品劇場公開される、というのは、その昔キリンプラザ大阪でのウィリアム・クラインの写真展+回顧上映をわざわざ見に行った者としては感慨深い(昔は勤勉)。
昔見たときは、その圧倒的にハイセンスなヴィジュアル・ショックにグウグウ寝てしまったわけですけど、スタンリー・キューブリックによって「10 年先は行ってる!」と言われた監督の作品、10 年たってやっと面白く見ることができました(25 年前の作品ですが)。いきなり話変わって、実は私、オパールのメニューを作成したのですが(結構ボロボロになっております)、そのメニューにアルファベットや番号をふってしまったのは、そうか、この『モデル・カップル』のヴィジュアルが元ネタだったのだ! ババーン! 睡眠学習してしまっていたの です。いやー、感慨深いです、というか、元ネタがバレてちょっと恥ずかしいです。
そんなことはどうでもよく、当時フランス政府が進めようとしていたモデル都市政策かなんかを皮肉った内容みたいです。やはり、ビジュアルが滅法カッコいいわけでして、資本主義批判の映画をそういう表面的なところで評価してしまうのはいかがなものか? と思わないでもないですけど、痛烈に資本主義を批判した作品もあっさりと「お洒落」として消費できてしまう、ふところの深さが資本主義を永らく生き延びさせているのだなあ。適当。
場面写真など見ると深刻な内容を予想させますが、そこは『ポリー・マグー』『ミスター・フリーダム』のクラインですから、全編コミカルタッチなのでご安心を。
キューブリックにも通ずる圧倒的なモダンさは現在も有効。日本イタリア京都会館での上映は終わってしまいましたが、9 月に扇町ミュージックスクエアで上映されるとのこと。イタリア会館では、7 月 12 、13 日に 93 年の自伝的フィルム『イン & アウト・オブ・ファッション』が上映されますのでこちらもお見逃しなく。とにかく、資本主義、ファッションに批判的なところも含めてカッコいいのでした。あ、衣装に agnis b さんもクレジットされております。うーむなるほど。
☆☆☆★(☆= 20 点・★= 5 点)
BABA Original: 2002-Jul-12;