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Movie Review 10月23日(TUE.)

陰陽師

 夢枕獏の原作を滝田洋二郎監督で映画化。滝田監督といえば、『病院へ行こう』『眠らない街 新宿鮫』『お受験』など、「お。ちょっと面白いかも?」な作品を連発、『シャ乱 Q の演歌の花道』は 90 年代日本映画を代表する傑作だったりします(誰も誉めてませんが)。さて『陰陽師』。原作は読んでおりませんが岡野玲子のコミック版は読んでおり、大いに期待を持って鑑賞に臨みました。その辺がマズかったかどうにもこうにも。

 いや、冒頭の安部晴明とは何者ゾ? に当たる部分=松に瓜がなって、おおこれは鬼の祟りじゃ、なんとかしてくれー、晴明どのー、晴明どのー、のあたりは「傑作かもー?」の予感漂っておりましたが、安部晴明:アウトロー/アナーキスト、真田広之:体制側/権力志向の対決の図式を呈するにいたって話はどんどん詰まらなくなっていくのでした。安部晴明の魅力といえば、人間離れした明晰な頭脳の持ち主にて、すべてお見通しさ、俗事に囚われず、ふふん、…って感じだと思うのですが、それが俗物と正面対決してもイマイチ面白くならないのですよ。

 しかも、晴明、ヤオイ雰囲気を漂わせる源博雅の死に及んで「死ぬな博雅、我等はまだ会うたばかりではないかー」とドラマチックに本心を吐露するにいたってはドッチラケませんか? 伝説の陰陽師、安部晴明も一ヶの人間なんですよ、との描き方ですけど、どうなんでしょうか? 例えば安部晴明が余りにも神格化されているなら、人間くさい面を強調するのも面白いでしょうけど。そういえば滝田監督はスーパースター矢沢永吉を『お受験』に奔走させた事例が示すように、人間くさい題材を得意にする監督なのでありましょう。ついつい人間くささが出てしまったのでしょうか。

 いやヒットしているようなので良いのですが、こんな晴明でいいのか問いたい。問い詰めたい。小 1 時間問い詰めたい。というのも私が岡野玲子コミックのイメージに引きずられているからなのでしてね。いや、伊藤英明演じるところの源博雅のマジボケぶりが、余りにもコミックそのままだったもので(ブラボー)。安部晴明は狂言役者の野村萬斎が演じておられ、何だかわけのわからないキャラにはなっているのですが、うーむ。…と私は呆然と途方に暮れたのでした。

 原作もコミックも読んだことのない方にはオススメかも知れません。知らん。

BABA Original: 2001-Jan-23;

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