京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Reviews > 01 > 1108
Movie Review 11月8日(THU.)

Platonic Sex
 プラトニック・セックス

 お茶の間の人気者・飯島愛氏のベストセラーとなった半自伝的小説を『デボラがライバル』(吉川ひなの主演)の松浦雅子監督が映画化。『デボラがライバル』は、「うーむ、きびしいですね。どうしようもないですねー」な出来でしたが(見に行ってるほうこそどうしようもない)、今回は随分とマシでした。

 17 歳少女あおい(加賀美早紀)は、友人のバンにホイホイ乗って輪姦され、それを知った父親に「そんなにセックスが好きなのかー!」とワケのわからないことを言われてボコボコに殴られ、家出→キャバクラ嬢→ブランド狂いで借金→アダルトヴィデオ出演、と、数奇な(そうでもないか)運命をたどります。

 やがてメル友の DJ 見習い氏(オダギリジョー)とばったり出会って純愛を知り、いい仲になって同棲、そんなとき、契約の AV2 本目出演を求める電話が…と、なんといいますか、典型的ソープ・オペラ的ストーリー展開に唖然としたのでした。

 しかし、しかし、昼メロ的、または土曜ワイド劇場的雰囲気にあって、異彩を放つのが、日本のマリオ・チッポリーニこと阿部寛です。

 阿部ちゃん、まず主人公あおいが務める風俗店に突然現れ、「この店でいちばん不幸な女の子を付けてくれー」と言い放ち、主人公あおいの身の上話を聞いて、「うーーーーん。いいねえ。いいーねえー。キミの不幸は 50 点! 1 点 1 万円だから、キミに 50 万円あげよう!」

 果たして、このオヤジ何者? 阿部ちゃんが差し出した名刺には、「慈善家」の肩書きが! 何じゃそりゃ。これが実話だとしたら、ぜひ慈善家の方にお会いしたいものです。

 阿部ちゃんは慈善家ですから、孤児院におもむきます。子供たちは阿部ちゃんに群がって「おじちゃーん、おじちゃーん!」と大喜び。「ふふふ。どうしてボクが子供たちになつかれているかわかるかい。それはボクが小遣いをやるからなんだよ! ほーら小遣いやろう!」と小銭をばらまく! 「いいねえいいねえ。子供たちの媚びた表情がたまらないねぇー」とご満悦です。私も爆笑。

 また、ふかし芋をパクつきつつ、「人間にとって一番の不幸? それはこの世に生まれてきたことさ。すなわちその意味において、人生なんてこの芋と等しく無意味だ! パクパク!」…うーむ。ヌルいラヴロマンスにくさびを撃つがごとき真実の言葉。素晴らしいです。で、結局阿部ちゃん何者?

 色々あって主人公あおいは「やっぱり人生、自分を大切にして生きなきゃ!」と悟り、劇場内のソチコチにはすすり泣きが漏れたりして、結構感動的だったり。ま、それはともかく、阿部ちゃん最高! ポン引きに扮した加勢大周もいい味出してます。あ、『GO』で主人公の友人、暴力団組長の息子を演じた村田充くんが、DJ 氏の友人役でここでも好演、要チェックですね。全然エッチじゃないけど微妙な見どころ多数にてオススメ。

BABA Original: 2001-Nov-08;

レビュー目次