レッド・プラネット
『ミッション・トゥー・マース』に続く火星ボンクラ映画第 2 弾! あちらも人面岩が登場したりとトンチキぶり全開だったが、今回も、『第三の選択』(密かに米ソが協力して火星に人類を送り込んでいたという内容の、イギリスでは 4 月 1 日に放映されたドキュメンタリー番組)を彷彿とさせる、火星移住計画だ。なんでこんなんばっかりだ?
火星移住の準備調査のため、科学者・技術者たち 6 名が火星に向かう。火星着陸の直前、強烈な太陽風(?)が直撃、船長を残した 5 名は火星へ緊急着陸。その後、アレコレありつつ、いかに火星から脱出するか? というお話。
まず、乗組員のキャラが素晴らしいぞ。乗組員は様々な分野のエキスパートたちだ。別に、専門分野を生かして活躍するわけでもないのに延々と説明されるのに、ウットリしてついつい眠気を催すぞ。
まず船長は、『マトリックス』のトリニティことキャリー=アン・モス。意味なく裸身をさらしたりと大活躍だ。なぜか彼女は火星には行かず、ロケットに残って修理にいそしむ地味な役回りだ。どう考えても『マトリックス』後の作品選択を間違えてるぞ。
たたき上げの技術者はヴァル・キルマーだ。『ヒート』で好演したものの、その後、出る映画、出る映画すべてに滑りまくっており、今回も 1 万メートルの大滑落だ。ヴァルが出るから滑るのか、滑る映画にヴァルが出るのか? 大いなる謎は 21 世紀に持ち越しだ。
科学に幻滅を抱き、哲学に走る科学者(?)を演じているのは、『イギリスから来た男』で復活したテレンス・スタンプだ。結局この映画で台無しだ。何をしているのだ。火星に着いて、さあ、これからって時にいきなり死んでどうする? 何しに出てきたのだ?
さらに、「お前さんのサイトのヒット数はいくらだい? はっ! たったの 800 ? オレ様のサイトは 50 万ヒットだぜ!」と、ワケのわからないことを自慢するマッチョ野郎も、アッという間に死んじゃうし。
せっかくキャラを立てたヤツがすぐに死んで、キャラ立ちしてないのが生き残る。映画作法の常識を根底から覆す革命的な脚本だ。しかし全然おもしろくならないのが難点だ。脚本は『ジャッカル』『ヴァイラス』など数々のボンクラ映画を担当してきたチャック・ファーラーだ。監督は、コマーシャル出身の新人アントニー・ホフマン。どうしろと言うのだ。
火星に着陸する瞬間など、着陸船は機外にゴム風船をふくらませ、火星の岩肌をボヨーン、ボヨーンと転がっていくのが最高の爆笑シーンだ。しかし、これとて科学者が真剣に研究した最新の成果を取り入れているらしいからたいしたものだ。あーおもちろかった。
『ミッション・トゥー・マース』の方が、まだ、マシじゃないか。一体誰にすすめたらいいのだ?
BABA Original: 2001-Jan-25;
|