バトルフィールド・アース
ジョン・トラボルタ主演、製作も兼ねる。鼻からチューブを垂らし、髪の毛ボサボサ、厚底サンダル履き、と、ひょっとしたら「ヤマンバ」ってんですか? を、参考にしたような恰好で、トラボルタが頑張るのでそれだけで超オススメだ。しかも迎え撃つは『プライベート・ライアン』の孤独な狙撃兵、バリー・ペッパー。フォレスト・ウィテカーも鼻からぶらぶらチューブ垂らしてるし、これは断固見逃せないぞ!
「1000 年後の地球をお見せしよう」。地球は 2000 年あたりにサイクロ星人によってコテンパンにやられて文明は死滅。バリー・ペッパーは、一族とともに原始人状態で洞窟で暮らしている。どうやら集落から出ると「神様」に拉致されちゃうらしい。血気盛んなバリーは辛抱たまらんと旅に出て、あっさり「神様」=トラボルタ演じるサイクロ星人に出会い、捕まって檻の中へ。
サイクロ星人は、地球の植民地化を進めており、地球人をつかまえ飼育、奴隷労働させていたのだ。サイクロ星人は地球の大気では長時間活動できない。ただの奴隷労働では生産性が上がらん、地球人を自主的に働かせてみたら如何? と、やたらイキのいいバリーに目をつけたトラボルタは、言葉を教えたり、図書館の廃墟につれていって勉強させたりする。おかげでバリーは、サイクロ語をおぼえ、通訳の役目につく。
バリーには策略があった。サイクロ星人の代わりに「金(ゴールド)」を掘らせていただきますぜ、と一定監視をゆるめさせ、金は掘らずに、米軍基地の廃墟に忍び込んで、みんなで兵器の操作に習熟、反乱を起こすという計画だ。でも、金を全然掘ってないと、怪しまれるのでは? その点も抜かりなし。心配ご無用、フォート・ノックスの金貯蔵所の金を持ってくるのだ!
サイクロ星人も、実は「金」が欲しい、ってのもお笑いだが、なんでフォート・ノックスに丸々金が残っているかも不思議だ。サイクロ星人は「物質転送機」など高度なテクノロジーを持つが、金は手堀りに頼らざるを得ないのだ。かように 3000 年の地球はオドロキに満ちている。
運ばれた金は、精製されて延べ棒になっている。見回りに来たトラボルタもさすがに疑問に思う。
トラボルタ曰く「おい、なんで延べ棒なんだ?」
バリー答えて「高貴なサイクロ星人様には原石は似合いませんよ。精製しておきました。」
「ばかたれ! そんなヒマがあったらもっと掘りやがれ!」と声を荒げるものの、トラボルタもおべんちゃらには満更ではないようだ。脱力感あふれる名シーンだ。
やがて、ほんの 2 週間ほどで米軍戦闘機の操縦もバッチリおぼえ、地球人の「独立戦争」が始まる。少し前まで字も読めなかった地球人が、最新鋭戦闘機の操縦をあっさりおぼえられるとは? と誰しも疑問に思うところだが、おまかせあれ! フライト・シミュレーターでバッチリなのさ! 3000 年の地球はオドロキの連続だ。で、反乱は成功、めでたしめでたし。
さて、賢明な読者は、この映画が、サイクロ星人=アメリカ、地球人=日本人という図式にのっとっていることに気付かれただろう。かつて日本は黄金の国「ジパング」と呼ばれ、第二次大戦でアメリカに壊滅的な敗北を喫したが、アメリカの援助もあって、立ち直り、アメリカの植民地支配をうまいこと利用しつつ軍隊も復活させ、まず、経済でアメリカに反撃。この映画は、3000 年の地球を舞台に、日米の歴史をなぞる。作者は、あんまり日本人をなめて、日本に口出ししていると痛い目に会うよ、とアメリカの戦後対日政策を批判しているのだ。アンチ・グローバリズムってヤツか? ともかく、脱力感満点なれど、別にサイエントロジー臭さはないし(よく知りませんが)、身長 3 メートル、顔面だけで 60 センチはあるトラボルタは必見。20 世紀最後のオススメ!
BABA Original: 2000-Jan-31;
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