シャフト
リメイク。元ネタの『黒いジャガー/シャフト旋風』は、アイザック・ヘイズの、いつになったら唄が始まんねん! イントロ長すぎ! …の主題歌に乗って主演のリチャード・ラウンドツリーがニューヨークの街を闊歩するオープニングが最高にカッコよかった。で『シャフト』といえばオープニング。なのにリメイク版と来たら、アイザック・ヘイズの主題歌も短くつづめられちゃってさ、なーんかまたデザイン過剰のしょむないオープニング、イマジナリー・フォーシスかい!? と怒りましたがバルスマイヤー & エヴェレットでした。
それはどうでもよくって、中身はなかなかいいぞ。オリジナルは私立探偵だったが、今回のシャフトは正義に燃える刑事だ。金持ち白人のボンボンが悪役で、シャフト刑事は法が裁けぬならオレが裁く! と警察バッジを投げ捨て悪人を追いつめていく。どかんどかんと爆発するわけでもなく、ぎゃんぎゃんカーチェイスが行われるのでもなく、さすがに追っかけはあるが、シャフトは「逃げるなアホ! オレを走らせるんじゃねぇ!」とボヤキながらの追っかけで、つまりは『ダイ・ハード』以降主流の筋肉バカ的刑事アクションではない、ってことです。やはり刑事は頭とシャベリで頑張らなきゃ。
シャフトが追及する事件も、政治家がからんだりとかの「巨悪」にはほど遠くショボめだったりする。それでも手を抜かずにシャフトが犯人を着々と追いつめていくのがいい、ってのはバックにアイザック・ヘイズの主題歌調の、ツッチャカツッチャカいかした音楽が流れていてテンポが抜群。
70 年代であれば主人公が少々の挫折を味わったり、手ひどく痛めつけられたりするけれど、今回はそゆのがないのがチョと残念であるが、まあ敵役が小物だから仕方ないか。
白人のボンボンは捕まるたびに高額の保釈金を払って罪を逃れる。ラストは「法が裁けないなら私が裁く!」といわゆる法律否定、私刑オッケーって感じで、金持ちを裁けないアメリカ司法制度批判。監督・脚本は『ハイヤー・ラーニング』のアフリカ系アメリカン、ジョン・シングルトン、社会派かつエンターテインメントってのが得意でござる。
とにかくサミュエル・L ・ジャクソンのノリが気持ちいいのだ。アルマーニが全然似合ってなくて、その似合ってなさがまたカッコいい。『バスキア』でバスキアを演じたジェフリー・ライトが妙なギャングを演じてて笑かしてくれるし、意外と拾いモノ、という感じでオススメ。
BABA Original: 2000-Nov-19;