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Movie Review 2000・3月25日(SAT.)

ケイゾク/映画
 Beautiful Dreamer

 残念ながら、テレヴィシリーズの方は、ヴィデオの一巻目しか見ていない。二巻目以降も一応見るつもりなんだけど、ずーっと貸し出し中なのだ。ガッデム。

 最近の、テレビシリーズの映画化は、やっぱり事前にヴィデオをチェックしておくのが基本でしょう。そういう「努力」をしないでこの映画がつまらん、とかいう人がいるようだが、一体何を考えているのか? と不思議に思う。そもそもなんでこの映画を見に行こうと思うのだ? 胸に手をあてて考えていただきたいものだ。例えばデビッド・リンチの『ツイン・ピークス ローラ・パーマ最後の 7 日間』は、テレヴィの方を見ていなくても、というか見ていないがため、ボクはより一層話のキチガイぶりに感銘を受けたものだが、そういうのを期待していたのか? それとも映画だったら何でも見ずにはいられない、という映画依存症か?…ってワシか。いや、そういうわけではないんですが。

 それはともかく、事前の充分な準備なしに見たもんで、けなす資格がないのだが、あえて言わしてもらうと、この映画は本年度(って、まだ始まったばかりだけど)つまらない映画チャンピオンだ。ボクが過去に見た映画の中でも『ミュータント・ニンジャ・タートルズ』に匹敵するつまらなさだ。これが洋画であれば、字幕のフォントの形を愛でたり、外国語のヒアリングの訓練をしたりと、有益な時間を過ごせるのだが、日本映画だとなかなかそうもいきません。

 さらに「しょうもないパンフ」大賞も進呈しよう。読むとこがまったくない。関連本を買えってことか? ええ加減にせえよ。

 さて、「ケイゾク」とは「継続」、いわゆる「迷宮入り」を警察用語でこう呼ぶ。テレヴィシリーズ同様、「本格推理」的なトリックを東大出の官僚候補のエリート刑事、しかして服を着たままシャワーを浴びるようなボンクラ、中谷美紀が直感で暴いていく。今回は孤島に招かれた男女が次々殺される、というクリスティの『そして誰もいなくなった』風の筋立て。

『ケイゾク』の欠点は、古典的ともいえる「本格推理」でありながら、演出が「斬新」であることだ。やたらカットを割ってみたり、構図に凝ってみたり、手持ちカメラを振り回してみたり。「本格推理」は、作者と観客の知恵比べなのだから、知性をマヒさせがちな MTV 的・アートっぽい演出はそぐわないのだ。「気張ってはるけど、なんで犯人はこんな苦労をしてどうでもいいトリックを仕掛けるのか」と疑問を抱かせてしまうほど、妙にシリアスな演出にも困ったものだ。

 まあトンチキな映画なんだが、警察批判の映画として見れば、なかなか楽しめる。出てくる刑事はボンクラぞろい。この映画では、殺人事件が起こり、犯人の言うことにゃあ「私がやったのよ、でも証拠がないから逮捕できないでしょ」。すると刑事約 2 名は「ふんふん」と納得し、その後の連続殺人の発生を許してしまう。お前らアホか。とりあえず容疑者の身柄確保が先決ではないか。そう、警察はここまで機転が効かなくなっているのだ。

 さらに、本庁に応援を申請しないのもおかしいぞ。衛星携帯電話とか持って行かないのか。なんか、磁気が強い島らしいが、連絡を取ろうとすらしないのは脳たりん過ぎる。

 無意味に発砲して税金のムダづかいをしてみたり、女子高生と不倫をしてみたり、親方日の丸気分炸裂でのんびり内輪で盛り上がってみたり、と警察の現在を見事に反映している。…な、わけないか。

 ともかく、たまには劇的につまらない映画を見てみようか? という方には強力にオススメ。

BABA Original: 2000-Mar-25;

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