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Movie Review 2000・12月20日(WED.)

コヨーテ・アグリー

『アルマゲドン』など数々のメガヒット作をとばし続けるジェリー・ブラッカイマー製作。CG をガンガン使った超大作路線もいいが、やっぱりコスト・パフォーマンスが悪いよねリスクもデカいし、かどうか知らないが、今回は『フラッシュダンス』風味のこぢんまりとしたサクセス・ストーリーで、小さく投資してガバチョと儲けよう、という魂胆。か?

 ニュージャージー在住の主人公ヴァイオレットは、ソングライターを夢見てニューヨークへ。ニューヨークから 60km 足らずの近郊ながら田舎者臭さがプーンと漂う。そういや『54』の主人公もニュージャージー出身でしたね。ジャージー・ガールとは田舎者を指すらしいが、京都市における「県民」と同じようなニュアンスか。よくわかりません。

 さてヴァイオレットは、ニューヨークで一人暮らし。なんだかんだあって、空き巣に入られたりして「コヨーテ・アグリー」なるバー(クラブ?)で働くことに。

 コヨーテ・アグリーとはニューヨークに実在するクラブだそうで、これが、まあ、大変。美人ぞろいのバーテンが、夜ごとバーカウンターの上で踊り狂い、水をかぶり、ウィスキーをブチまけて火をつけたり、と大騒ぎ。

 バーテンが美人なだけが売りではない。その客あしらいの見事さも人気の秘密だ。アメリカの客商売の標語は「お客様はいつも正しい」、すなわち「顧客満足」を追求することこそ至上命令。客は甘やかされてわがまま言い放題となっている。この風潮に真っ向から刃向かうのがコヨーテ・アグリーなのだ。

 例えば事情をよく知らない客が「水割り」を注文してしまったとしよう。店の女将が拡声器で怒鳴る。「ヘーイ、みんな、うちの店って水割りなんか出す店だったっけ?」。客は答える。「ノ〜〜ッ!」。女将曰く「うちではストレートしか出さないんだよ! 水が欲しけりゃ、これでもくらいな!」と、ホースで水を浴びせかけられてしまうのだった。周りの客もズブ濡れになって大喜び。気丈な女将が切り盛りする西部開拓時代の酒場の雰囲気をニューヨークに伝える、というのがミソで、アメリカ人の保守的指向性を微妙にくすぐるのであろう。よく知りませんが。

 ココで働く女性バーテン達は、自らを「コヨーテ」と称する。ワナにかかれば足を噛み切ってでも逃げようとするコヨーテだ。何者にも束縛されないバーテン達と働くうち、主人公もコヨーテと化し、自らの夢を追求することに徹底的に自由であろう、と決意する。

 お話の展開といい、コヨーテ達のキャラクターといい、アメリカの労働者階級が大喜びしそうなステレオタイプで、その紋切りぶりが素晴らしい。主演はこの作品で初の大役に抜擢されたパイパー・ペラーボ。歌がモロ吹き替えなのも、いいぞ!

 …と、いうようなことはホントはどうでもよくて、主人公の父親に扮した『ビッグ・リボウスキ』のベトナム復員兵ことジョン・グッドマンが最高なのだった。体重も約 50 %増えてます。どうしようもないオヤジながら娘を見守る心情が泣ける!

『グリンチ』の一億倍はおもしろいとおもうのだが、なぜか河原町では上映してません。イオンシネマ久御山で上映中。オススメ。

BABA Original: 2000-Dec-20;

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