映画史
散々話に登っているので皆さんご存知でしょうが、ゴダールが 10 年がかりで作り上げた、映画や文学絵画などあらゆる芸術をコラージュして作られた『映画史』。その圧倒的な映像はすさまじく、次から次へと繰り出される映像に圧倒される。映像も見なければいけないわ、音楽も聞かなければならないわ、字幕も読まなければならないわで見る側も大変。
とりあえずみんながすごいと言っていたせいか、すごい、きっとすごいんだ! と思い込んでいたおかげで部屋の中でサンバイザーを被っているゴダールを見ても、むむっ、これはヨーロッパではきっとお洒落なんだ。と信じ込み、パゾリーニの映像をバシバシ引用しているあたりはきっとパゾリーニを尊敬しているに違いないと思ってみたりする。後日の店主のレビューを見たときは呆然としてしまいました。どないやねんゴダール。
さすがに「僕の君の、みんなのイタリア語〜」というみょうちくりんな音楽に乗せて VIVA! Italia!! という文字がばばーんと画面に映し出された時は仰け反りそうになったものの、概ねなんか分からんけどすごい。ような気がする。
フランス映画が最高と言いたいのはなんとなく分かるのだが、とにかく何を言ってるのか分けが分からない。仕方がないので終始何を引用しているのか探すのに必死になる。が、何を引用しているかもやっぱり分からない。キューブリックくらい使ってくれいと祈るがやっぱり無駄でした。
そんなんだから強烈な眠さに襲われるわけですが、今にも意識を失いそうになったその時、僕もよく知っている音楽が流れてきました。うおおおおお! これはっ! サイコや!! 最高!
サイコの音楽は 3 回ほど使われていて、ことごとく僕の眠気がピークに達している時にかけられるもんだから、その都度アドレナリンが沸いてきて目が冴えるという按配。非常にもてあそばれてる感が漂っています。
サイコのおかげでほとんど意識を失うことなく見ることが出来、満足して鑑賞を終えるが、会場を出た瞬間振り返ってみると頭の中になにも残っていない事に気がついて愕然とする。
なんだったのだこの 4 時間半は。
浅田 彰曰く
ゴダールが、映画史の、また 20 世紀の歴史の集大成として作りあげた「映 画 史」という十年越しの作品が、ついに全貌を現した。それを体験し、そこからどれだけ生産的な反響を引き出させるかが、われわれに問われている。(※)
とのことですが、やっぱり僕には問われていなかったらしい。死ぬまでに「われわれ」に加わりたいもんです。
(※『映画史』チラシより引用:オイシン)
Original: 2000-Aug-26;
|