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Movie Review 2000・8月6日(SUN.)

劇場版ポケット・モンスター
結晶塔の帝王

 アメリカを始め世界各国で大ヒットとなり、日本映画史上の快挙をなしとげた劇場版ポケモンの第三作。予算的にも余裕が出来たのか、CG も駆使してなかなかの仕上がりだ。

 ポケモンをご存じない方に若干説明申し上げる。ポケモンとはゲームボーイのロールプレイイング+対戦+交換ゲーム。ポケモンと呼ばれる謎の生物が発生した世界が舞台。「金・銀」ヴァージョンでは 200 種以上のポケモンが確認されている。主人公は、ポケモントレーナーを夢見る少年で、野生のポケモンをゲットし、育てつつ道中出会う様々な人々とポケモンバトルを繰り返し、ポケモンチャンピオンを目指す、という筋立てだ。

 映画も、基本的な世界観を踏襲しており、1 作目=ミュウツー、2 作目=ルギア、3 作目=エンテイとそれぞれ幻のポケモンが登場する。今回のエンテイは、少女の思念がつくり出した伝説のポケモンだ。ポケモン出現過程の丁寧な描写は、『ウルトラ Q 』『ウルトラマン』などの円谷特撮怪獣シリーズの影響をうかがわせ、少女の孤独が物質化して「結晶塔」なる結晶世界を形成するあたりは、古典的な SF っぽくてよろしい。

 また、前 2 作はお話を語るのに精一杯で、ポケモン・バトルの描写が少なかったのだが、今回はゲーム的なバトルが何回か繰り返され、ポケモン・ゲーマーが本当に見たいものを映像化しており、「結晶塔」潜入の過程でポケモンのワザが活用され、これまで稀薄だった RPG 的筋立てが生かされた脚本となっている。つまり、ゲームの魅力が反映されてきているのだ。ポケモンの魅力とは、すなわち数多く登場するポケモン自身と、それが繰り出すワザにある。この線を強め、ポケモン描写+ワザ描写の映像が物語を圧倒する瞬間を期待したい。

 併映『ピチューとピカチュー』も、前二作の併映作の白痴ぶりからは確実に脱しており、見応えあり。オススメ、ではあるが、ポケモンをプレイしたことがない人が楽しめるかどうかは保障しません。

BABA Original: 2000-Aug-06;

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