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Text by 小川顕太郎
2006年06月15日(Thu)

画家泉茂の写真展
アート

 滋賀県立近代美術館に「画家泉茂の写真展」を観に行く。泉茂と言へば、50年代に瑛九らと共に「デモクラート美術家協会」を結成し、関西アバンギャルドの先駆けとなつた画家さんである。すでに平成7年に没してゐるが、私は没後すぐに伊丹市美術館で行はれた回顧展に行き、その時に感銘を受けて、その名前を頭の中に牢記してゐたのであつた。

 今回はその彼がアメリカ滞在中に撮つた写真の展覧会。作品として撮つたのではなく、自分の絵の研究材料として、あるいは趣味として撮られたものなので、ほとんどのものが初公開である。作品として撮つたものではない、とはいへ、さすがそこは泉茂。美意識が張つてゐて、どの写真も興味深い。人物の写真が比較的少なく、看板や落書き、マンホールの蓋、道路に引かれた線、人の座つてゐない椅子、など、造形的なものに興味がいつてゐる感じだ。この写真を撮りまくつたニューヨーク滞在中に、彼の絵が具象から抽象へと変はつた、といふのも面白い。50年代の香り漂ふNYの様子も(60年代のNYの写真、と銘打つてゐるが、街の様子はまだまだ50年代)素敵だ。

 特筆すべきは、パリで飼つてゐた猫の写真集まであつたのだが、この猫の名が「ポー」といふのである! ダダーン! さすが泉茂、センスが並みぢやない! …て、これは個人的な感慨でした。トモコは「運命的なものを感じる」と申してをりました。

 ちなみに、滋賀県立近代美術館には初めて来たのだが、結構よい感じであつた。人も少ないし。次はイサム・ノグチ展をやるとの事なので、また来るかな。

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