V for Vendetta
[映画]
MOVIXにて『V for Vendetta』を観る。あの『マトリックス』のスタッフがおくる新たな衝撃! てな感じで宣伝されてゐますが、ハッキリ言つて『マトリックス』なんかより全然面白い!
舞台は未来のイギリス。人々は第三次世界大戦後の独裁者が君臨する超管理社会に住んでゐるのであつた…といふ設定をきけば分かるやうに、これはジョージ・オーウェルの『1984』なのですね。いや、話は全く違ひますが、『1984』の志を受け継いでゐる。来るべき恐ろしい管理社会。政府はマスコミを掌握し、マスコミを通じて人々を洗脳し、ウソの情報で飼ひ慣らしてゐる。喋つてゐる事はあらゆる所で盗聴され、密告される。過去の歴史を学ぶことは禁じられ、現在こそが最高だと教へられる。テロや戦争の危機を煽り、人々の政府に対する依存心を強め……と、書いてゐて、現在とあまり大差ない事に愕然ときましたが、要するにホントにもうすぐそこまで来てゐる管理社会に対して、如何に闘ふか。まァ、基本がエンタテインメントなんで、楽天的で甘いですが、それでも非常に教育的で役に立つ。我々は楽しみながら、さまざまな闘ひ方を学ぶことができるだらう。
「政治家は真実を語つてウソをつくが、作家はウソを語つて真実を示す」
こんな素敵なパンチラインも頻出するので、要チェキ。心に刻み込みませう。
ここで簡単な参考文献紹介。
- 『1984年』ジョージ・オーウェル
- 『すばらしい新世界』オルダス・ハックスリー
- 『次の超大国は中国だとロックフェラーが決めた 〈上〉技術・諜報篇』ヴィクター・ソーン
- 『次の超大国は中国だとロックフェラーが決めた 〈下〉謀略・金融篇』ヴィクター・ソーン
この映画は『1984』とは違つて、明るい、希望の見える終はり方をしてゐる。そこら辺が、甘いといへば甘いのだけど、それでも映画『素晴らしき哉、人生!』を思はせるラストシーンは、民主主義に懐疑的な私でさへウッカリ民主主義を信じてしまひさうになる、感動もの。胸に熱いものが滾ります。
明日のために、是非!
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