その男・榎忠
[アート]
KPOキリンプラザ大阪に「その男・榎忠」展を観に行く。榎忠は、身体中の毛を半分だけ剃り落としてハンガリーに行く「半刈りでハンガリーに行く」といふパフォーマンスで有名な神戸在住のアーティストである。一般的には、あとポートピア‘81に出展(?)して、ヤノベケンジにも絶大な影響を与へたと言はれる「スペースロブスター」ぐらゐが有名な作品か。私もその程度の知識しかなかつたので、この回顧展はいい機会だと思ひ、トモコとハッサクさんを誘つて大阪まで足を伸ばしたのである。
さて榎忠の活動は、大きくパフォーマンスアートと鉄や廃材を利用したオブジェ制作の二つに分かれる。そして、パフォーマンスアートの方はその場限りの表現であるし、オブジェの方もその巨大さから保存は不可能で展示が終はれば解体されてしまふので、どちらも作品としては残つてゐない。現存するのは、尼崎の公園に設置された「AMAMAMA」のみだといふ事だ。ぢやあ、どうやつて回顧展なんてするの? とは当然出てくる疑問だが、もちろん、記録写真や資料によつて行ふのである。この回顧展も、大半が記録写真と資料とビデオで構成されてゐた。が、だからと言つて退屈といふ事は全くなく、非常に面白かつた。その男・榎忠の闘ひの軌跡がグングンと迫つてきて、ワクワクしてしまつた。また榎忠のドキュメンタリーフィルムも流されてをり、これが興味深い。週休二日の月給取りの生活をしながら、若い頃から現在に至るまで、倦まず弛まず創作・表現活動を続けてゐる自分自身について訥々と、しかし熱心に喋るその様はとても魅力的なのであつた。
これら以外にも、ちやんと作品もある。ひとつは「帰つてきたROSE-CHU」ともいふべきパフォーマンスアートで、これはその昔行はれた「BAR ROSE-CHU」といふパフォーマンスを、今に甦らせたもの。毎週土曜日には榎忠本人がやつてきて、パフォーマンスしてくれる。残念ながら今日は土曜日ぢやないので、パフォーマンスはなかつたが、その“場”とビデオがあるのでそれなりに楽しむことが出来た。
あとひとつは、鉄と廃材(?)を使つて作られた巨大オブジェ。これが計算されたライティングも相俟つて、なかなか素晴らしい。トモコが大感激してしまつて、「私が大金持ちだつたら、この作品買ふのに!」と叫んでゐたほどだ。これは一見の価値あり。この作品も後に残らない可能性大なので、時間のある人は是非是非足を運んでみられる事をオススメします。
4月16日(日曜日)まで。11時〜21時、無休。一般700円、学生500円。中学生以下は無料です。
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Comments
投稿者 ヤマネ : 2006年03月09日 17:27
榎忠、大好きなんです。展覧会やってるんですね、絶対行きます。
「ハンガリーで半刈り」のエラいところは、次の年に、今度は逆の体毛を剃ってハンガリーに行っているとこですよね。
あと、今回展示されていたかわかりませんが、阪急電車の車両を改造した作品がめちゃカッコいです。
投稿者 店主 : 2006年03月10日 07:23
阪急電車の車両を改造した作品は展示してませんでした。・・・ていふか、多分、その作品は残つてゐませんよ。ああいふのは、置き場所がないので、基本的にその時の展示が終はれば解体するさうです。ので、今回の作品も見逃すと後で後悔必至!
是非、観に行つて下さい。