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Text by 小川顕太郎
2005年06月13日(Mon)

達磨様
音楽

 さて我々がマカオでフラフラと遊んでゐる時に、主に私とトモコの頭の中で流れてゐた音楽は何でせうか? 実は、これが何と、達磨様(だるまさん)なのでした! 達磨様とは、もと韻踏合組合のオーヤがソロデビューして、改名した名前なのです。つまり、大阪(奈良)のラッパーですな。彼のソロデビューアルバム『HOW TO RIDE』を、まァ、旅行前に購入して聴いてゐたのですが、これがイイ! これは傑作ではないか、と飛び上がつたくらゐで、もともと私は韻踏合組合に関しては、そのマニエリスティックな韻の踏み方が少々鬱陶しく、それほど好きでもなかつたのですが、達磨様にはやられました。まづ、独りになつてスッキリした、といふのがあります。うるさすぎた韻の踏みも、ここでは素直に感嘆・賞賛・爆笑できるものとなつて、その姿をハッキリ現してゐます。次に、何より音楽的な側面が強まつたこと。韻踏合組合は、韻の踏み方は凄いけれど、音楽的側面が弱かつた、と思ふのですね。いはゆるフロウのことです。韻至上主義的な考へ方から言へば、センテンスの最後のところだけ韻を踏むのはイマイチ、てな事になると思ふのですが、私はそれによつて呪術的なグルーブ感が生み出せれば、それでも良いと考へてゐるんです。要は、問題はフロウだと。韻踏合組合の韻は、複雑すぎてこのグルーブ感に欠けるのでは? と思つてゐたのですが、この達磨様では見事にそれが解消! 複雑・絶妙にして、強力なグルーブ感を醸し出すことに成功してゐます。正にこのアルバムは、達磨様の歌ふがごとく

 ラップ界へのデビュー、センセーショナル

 やがて若手ラッパーの、先生となる(センセートナル)

 てなモノではないでせうか。

 で、このアルバムのOUTROで、「さくら〜、さくら〜」のメロディーに合はせて、「だるま〜、だるま〜」と歌つてゐるのですが、この呪術的なグルーブ(?)にやられてしまつた我々は、マカオの街角の至る所で、「だるま〜、だるま〜」と歌つてゐたのでした。

 マカオの色は赤かつた。

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