Diary 1999・9月27日(MON.)
寝て過ごす
明日になれば私は 30 歳だ。ロバになるのだ。30 歳未満の若者達に信用されなくなるのだ。孔子にならって立たねばならぬ。ニーチェにならって獅子にならねばならぬ。私は別に何をしたわけでもないのに大変なことになったものだ。きっと明日の朝起きたら世界は一変している事だろう。物事の輪郭はかすみ(老眼の進行で)、物音は鈍くくぐもり(耳が遠くなって)、世界はボンヤリとした曖昧さのうちに立ち現われるだろう。オパールで働いていても、オーダーをすぐ忘れたり、失禁したり、そのままどこかに徘徊しにいって警察に保護されたりするのだ。今は若者らしいファッションと認知されているこの髭も、明日になればジジくさいと若い娘達にせせら笑われるのだ。ああ、大変なことになったものだ。だから今日は何もせずゴロゴロと寝て暮らすのだ。こういう一日寝て暮らすという「贅沢」も、明日からは単なる生命力の枯渇とみられ、死期が近いと言われるようになるのだ。人生最後の贅沢を私はむしゃぶりつくすのだ。それでは、さらば! 我が青春の光よ。
小川顕太郎 Original:2000-Sep-29;