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 Diary 1999・7月26日(MON.)

さっそく
日記を送る

 本日ついに我が家のパソコンが復活した。慶賀すべきことだ。よってただいまより日記を再開する。〈再開〉といったのは他でもなく、私は以前『ショートカット』という一部では一世を風靡したミニコミ誌に日記を連載していたことがあるからだ。ショートカットに関わったのは私のサラリーマン時代で、当時の私は〈社畜〉という言葉を自嘲的につぶやきながら面白くもない仕事に振り回される毎日に嫌気がさし、既存の物語=価値観から日々の生活を解放すべく、〈日常をテクノ化する〉ために、ショートカットというミニコミに原稿を書き始めたのであった。その頃の私にとって、テクノとミニコミはアンダーグランドメディアとして等価だった。ショートカットに自らのサラリーマン生活を克明に分析的に書く(私にとってテクノとは克明かつ分析的なものの謂いだった)ことによって、徐々にテクノ化(?)されていった私は、なんと連載終了と同時に会社も辞めてしまった。それからは失業保険や退職金,貯金などを日々の糧とし、散歩と日記を趣味にして、ひたすらダラダラと遊び暮らし続ける日々をウダウダとミニコミに投稿し続けたのだが、いかんせん世の中は厳しい。本もレコードも売り尽くし、友人にもたかり尽くしたあげく見放され、親類一同の冷たい視線が耐え難く実家にも寄りつけないとなれば、どうやって空腹を満たすべきか。やはり働くしかないのか。墓守りという職業はないのか。そうか。そうなのか。そうなのだ。やはり働くしかないのだ。所詮私には働かずに喰っていくだけの財力も才覚もないのだ。と覚悟を決め、それでもなるべく楽しい仕事を、とカフェ・オパールを開くことにしたのだが、これも思うとやるとでは大違い。現実の厳しさに自らの不肖を嘆く毎日だということは、このように日記を再開したことからも知れよう。多分この日記が終わるとき、オパールも潰れているだろう。

小川顕太郎 Original:1999-Jul-28;