Diary 1999・8月29日(SUN.)
逃げる
店が暇なのでカウンターの椅子に腰掛けイシザキとタイラとウダラウダラ喋っていると、「ここいいですか」と私の隣のカウンター席を指さしてはいってきたお客さんが言った。もちろん知らない人だ。「どうぞどうぞ」と答えたものの、ひとみしりですぐ後込みする私は、文字通り後じさりしながらカウンターの横にまわりこんだ。するとちょうどそこにタケダくんが来たので、ナイスタイミング! と胸の中で叫びながら、彼女の隣に座ってもらう。
なにかきっかけになる話題、例えばオパールの WEB サイトをみてきた、とかがあれば私も喋れるのだが。しかしいきなりやってきてカウンターに座るくらいだから、きっと喋りにきたのだろうし、それなら彼女自身がなにか話題を提供するだろう。そうなれば私も受け答えが出来る。よし来い。と思っていると、彼女が口を開いた。「あなたは現代美術にとても詳しいですか」「いえ、全く詳しくありません」あちゃあ、会話終わってもうた。どうしよう。そうだ。「そういやあ、タケダくんは現代美術に詳しかったよねえ」「ええ〜そんな事ないですよ」「いやいや、大丈夫だよ」と体よくタケダくんにまかせ、私は逃げた。
ダメだねえ、あたしゃあ。いわゆるソツのない会話という奴が出来ない。慣れるのにも時間がかかるし。でも人間に関していえば基本的に私は「来るものは拒まず」なのだが。だから周りには変な奴ばかりが集まるのかな。
イシザキが来週から免許をとりに教習所に通うそうだ。時間を守れない、人とすぐ揉める、堪え性がない、と三拍子揃ったイシザキが果たして無事教習を終えれるのか。二週間、というのが大方の予想だ。もちろんこれは二週間しか保たないという意味だが。
小川顕太郎 Original:2000-Aug-31;