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 Diary 2005年5月18日(Wed.)

俳句ぢゃない

 しかし、二日間に渡つて俳句をこの日記に書きつけてみて思ふのだが、俳句を横書きにするのはどうにも変だ。それはもう、俳句ではない、とも言へる。石川九楊も言つてゐたが、横書きにされたものは日本語でさへない、のである。これは正しい。だから、日本固有の、世界最短の詩である俳句は、当然縦書きであるべきだらう。試しに、古今の有名な俳句を横書きにしてみる。

 流れ行く大根の葉の早さかな

 くろがねの秋の風鈴鳴りにけり

 ぜんまいののの字ばかりの寂光土

 学問のさびしさに堪へ炭をつぐ

 まつすぐな道でさみしい

 こんなよい月を一人で見て寝る

 向日葵や信長の首斬り落とす

 ううむ、変だ。放恣に流れてゐる、やうな気がする。特に自由律なんか目も当てられない。なんだこれは。

 考へてみれば、私の最初の文章も変だ。間違つてゐる。「俳句をこの日記に書きつけて」ではなく「俳句をこの日記に打つて」である。俳句は打つものではなく、詠む、あるひは書きつけるものだらう。今度行はれる「俳句の会(名称考案中)」は、断然縦書きでなければならない、と強く思つた。

 ぢやあ、この日記は一体どうすれば良いんでせうかねェ。

小川顕太郎 Original: 2005-May-21;