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 Diary 2005年8月24日(Wed.)

秘策

 本日テラリーは革靴を購入した。先日書いたゼミ**周年パーティーの司会をする時に着用するフォーマルウェアの総仕上げである。もちろん、テラリーは革靴を購入するのも初めて。一応イタリア製、*万円する代物である。テラリーの感想は、「これは滑る! コンビニには入らないやうにしやう」と言ふものだ。とりあへず、これで上から下まで、一式揃つたことになる。カフスなどは私が貸すことになつてゐるのだ。にしても、良かつたな、テラリー。これなら、その場でダントツにテラリーがお洒落だぞ。

「はい」

 でも、多分、誰もテラリーのお洒落さに気がつかないだらうけどな。学校の生協で買つたスーツと区別のつかない連中ばかりだらう?

「はい……」

 うむ。よし! それなら私が智慧を授けよう。

「はい、お願ひします」

 それはだなァ…値札をつけたままにするんだ!

「……」

 あれ? 気に入らない?

「そんなの、ただの間抜けですよ!」

 ううむ、ぢやあ、ダイヤのピアスをつける、といふのはどうだ。あるひは、ダイヤの指輪を小指にするとか。

「そんなもの持つてゐません! それに、これ以上お金はかけられません」

 ぢやあ、乾杯の音頭をとる時に、真珠を自分のグラスにいれて飲み干す、といふのはどうだ。

「なんか、話がずれてゐませんか」

 スピーチの途中で“男子は辺幅を飾らない、と言ひますが、さうでない男もゐます”とか言つて、クルリと一回転してポーズをとる、とか。

「もう、帰ります…」

 あらら、本当に帰つてしまつたよ。…うーむ、洒落のわからない奴に、お洒落は無理なんだけどなァ。

小川顕太郎 Original: 2005-Aug-28;