ジェンガ/宇宙戦争
ハッシー来店。「今日はpowerくんからTシャツを買ふんです。キシシシシ」といつものやうに不気味に笑ひながら言ふ。が、約束の時間を大幅に過ぎてもpowerくんは来ない。どうすればよいのか? …などと悩む必要なんてまるでなく、ハッシーはやる事ならいくらでもあるのであつた。とりあへず、今日はイナヤマさんとのジェンガエクストリーム対決。お互ひを“ライバル”と呼び合ふ二人だが、今までの戦績はイナヤマさんの全勝。これはボーリング対決での戦績だが、それにしても圧勝での全勝である。果たしてハッシーはジェンガエクストリームにてリベンジなるのか!
「キシシシ! 勝ちました」
あ、勝つたの。呆気なかつたな。うーむ、しかし、これで喜んでゐる訳にはいかないぞ。今回の大会は敗者復活戦があるから、イナヤマさんにもまだ優勝するチャンスがある。何と言つてもイナヤマさんは、ボーリングの時も最初にガターを連発してみんなを油断させておいて、気がつけばストライクの連発で女子のトップに立つてゐたやうな人だから。後半が恐いんだよ。またしてもハッシーの負けー、てな事にならないやう、気を引き締めておかないと。
「大丈夫です。キシシシシ」
イナヤマさん、優勝してください。
やつとpowerくん来店。「すみません! 実は…『火垂るの墓』を観てゐたんですー! テレビで」と目を真ッ赤にして言ふ。ああー、あれね。毎年やつてゐるのかな、あれ。すでに夏の風物詩か。季語になりさうだな。
そこにババさん来店。「『宇宙戦争』面白かつたでせうー!!!」
あ、ああ、ええ、まァまァ面白かつた、といつた感じです。
「『宇宙戦争』はスピルバーグの最高傑作でせうー!!!」
ああ、ええーと、私はあんまりスピルバーグを観ないもんで何とも…。
「『宇宙戦争』メチャメチャ面白いわー!!!」
さ、さうですか。それほど…
「でも、一寸恐いですよね。面白いといふより、恐い、といふか」と、powerくん。
「さうかな? ボクなんてアメリカ人がキャーキャー言つて逃げ回つてゐるのを観て、ザマーミサラセ! と、痛快極まりなかつたけどね。最高!」
確かに、悲惨な状況が描かれてゐる割には、なんとなく淡白なんですよね。甘い、といふか。例へば「ゴジラ」のやうな禍々しさがないんですよ。これは、自国を攻められた事のある国とない国の差かな。
「さうですね! 『火垂るの墓』の方が悲惨です! アニメなのに。」
やつぱ、一度攻めたらなあきませんね。**も投下して。さうすれば、もつとリアルな『宇宙戦争』が撮れますよ。
「いや、そこまでしなくても…別にボクは他の映画を撮つてくれたらいいですよ。『チーム・アメリカ』みたいなやつ」
なるほど。それもさうです。
小川顕太郎 Original: 2005-Aug-9;