ゴールデンウィーク前日
ダメだ。色々とやりたい事があつたのに、何もできない。最近、急に暑くなつたせゐか、なんだか夏バテ状態で、起きることも出来ないし、起きても身体が怠い。今日も起きたのは夕方の18時であつた。何故だか知らないがトモコは着物を着てサッサと何処かに出掛けていつたが、私はその後もゴロゴロとしながら音楽を聴いたり様々な本をつまみ読みしたりしてゐた。22時頃にトモコから電話がある。お腹も空いたし、街に出てきて一緒にご飯でも食べないか、との事だ。確かに、家に籠もつてゐるよりは、外に出た方がよいかもしれない。で、出掛けた。
四条河原町で落ち合つたのだが、凄い人出である。さすがにゴールデンウィークの前日だ。こんな事なら店を臨時で開ければ良かつたか…などとすぐに考へてしまふ自分に猛烈に嫌気がさす。いつからこんな人間になり果ててしまつたのか。…ええい、飯だ、飯! さて、どこに行きませうか。もう23時だし、今から行くとなると、祇園の方か。といつた次第で、祇園の寿司屋にいく。カウンター席につき、寿司を頬張つてゐると、隣の席の客と店の人が会話を交はしてゐた。「どうですか、街の人出は?」「いや、全然ダメ。とてもゴールデンウィークの前日とは思へんわ」お! さうなのか。いや、しかし、それは人々の引きが早いといふ意味なのでは。それとも……。
みんなが先日のJRの脱線事故の話をしてゐる。「運命だよねェ、運命」「ボクの知人があの電車にいつもは乗つてゐるさうなんだが」「無茶苦茶な話やわー」などと、同じ様な薄ッぺらな内容の事を喋つてゐる。が、人間の会話の9割は無意味なことで成り立つてゐるので、これでいいのだらう。それにしても、久しぶりに来たけれども、祇園といふのは凄いところだ。人々の欲望が音をたてて渦巻いてゐる。意識のレベルが下がつてゐたので、本当にその音(欲望の渦巻く音)が聞こえてきて、クラクラした。圧倒的な煩悩。それに翻弄される人々。私も、今日は店を開ければ良かつたのでは、などと、煩悩に翻弄されてゐる。…
帰りに八坂さんに寄り、心を清めてきました。
小川顕太郎 Original: 2005-May-2;