京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

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 Diary 2005年4月19日(Tue.)

忙しい

 色が黒くて厳つい顔をした男性が、ニヤニヤしながら店に入つて来た。お! こ、これは一寸危ないかな。ユキエさん、用心して、いつでも警察に連絡ができるやうに…。

「ご無沙汰してます。ハシモトです。覚えてらッしやいますか」

 は? いやー、あんまり覚えがないんだけど…

「そ、そんな! 意地悪せんといて下さい! 来やう、来やうと思つてゐたんですけど、忙しかつたんです! ほんま、やつと今日、来れたんです」

 あ、なーんだ、ハッシーか。ゴメン、ゴメン。もう、すつかり顔を忘れてゐたよ。

「…いや、ほんま忙しくて。オパールさんには世話になりッぱなしだから、なんとか来やうと思つてゐたんですが…」

 まァ、暇な時に遊びに来るのは誰でもできるよねー。忙しい時にこそ、無理してやつて来れば、誠意も伝はるといふもんだが、ま、ハッシーにそれを求めても仕方がないか。

「や! や! その、ほんまもの凄く忙しかつたんです! もう、信じられないほど!! で…」

 あのな、ハッシー。一寸辺りを見回してごらん。

「え? かうですか…?」

 な、店内にお客さんが誰もゐないだらう? もう、最近の平日はいつもこんな感じ。暇で暇で…。そんな時に、あんまり忙しい人の話を聞かされると、腹が立つたりするんだよねェ…。

「あ、あ、……話は変はりますけど、この間の花見は楽しかつたですねェ」

 勝手に話を変へるなッてーの。

「あ、あ、あの……注文していいですか?」

 うむ、さういふ話ならいくらでもしてくれ。

「ぢやあ、ハンバーグをライス大盛りで。あとビールを下さい。…で、この間の花見で…」

 勝手に話を変へるなッて、言つてゐるだらうが。

「え? ああ、あ、…ぢやあ、ガーリックトーストとテキーラをショットで。…で、この間の」

 まだまだ話は終はつてないッつーの。

「あー! もう勘弁して下さい!!」

 …ううむ、店が暇だと心が荒むなァ。

小川顕太郎 Original: 2005-Apr-23;