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 Diary 2004・9月23日(Thu.)

お見舞ひ

 昨日母親から電話があつて、祖父の容態が急変したので今のうちの顔を見に来なさい、と言はれ、本日は木曜日で本来ならオパールは休みなのだが祝日故に営業することになつてゐて、一瞬迷つたのだがやはりここは、と思ひ、オパールに行く前に祖父の家に寄ることにした。なに、1 時間半もあれば行けるのだ。

 が、家を出た途端にもの凄く激しい雨! 滝のやうな雨が轟音とともに降つてゐて、道路の先など白くけぶつてゐる。みんな軒先や商店街のドームの下、なんでも先頃のオリンピックで金メダルをとつた女性マラソン選手が雨の日はこのドームの下を走つて練習に励んでゐたさうだが、でボンヤリと雨を見つめてゐる。誰もこの雨の中に入つていかうとしない。私とトモコも、普段ならノンビリと雨宿りするところだが、今は時間がない。泣く泣く雨の中に踏み出した。傘をさしてゐたとはいへ、10 秒ほどでビショ濡れになる。

 そんなこんなで着いた祖父の家。人体模型のやうに痩せこけ、寝たきりで、言葉も碌に喋られない祖父の姿は、やはり衝撃であつた。が、昨日電話の話で聞いてゐた顔中に現れたといふ黄疸はひいてをり、顔色はそれほど悪くなかつたし、これは手を握つたトモコが気がついたのだが、ツメの色もきれいであつたさうだ。考へてゐたよりは、大丈夫かもしれない。

 ここ数日何も食べやうとしない、と言つて、私の母や祖母はなんとかモノを食べさせやうとするのだが、用意されてゐるのが「おでん」と「ハヤシライス」。ううむ、もう一寸なんか他のものはないのだらうか。スープ、とかの方がいいんぢやないか? とか思つたものの、何も言はず。といふか、何も言葉が出てこない。祖父の手を握り、肩に手を置いて、「早く元気になつて」と言ふのが精一杯であつた。

 そんなに長くゐても仕方がない、といふ事もあつて、早々にそこを辞して京都へと帰る。雨にたたられたのか、我々が遅めにオパールに着いてからのお客さんはゼロ。うーん、なんとなく、やりきれません。

小川顕太郎 Original: 2004-Sep-25;