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 Diary 2004・11月1日(Mon.)

国家的詐欺

 タケダくん来店。メディア・ハイジャックについて、話す。メディア・ハイジャックとは、テレビや新聞に代表されるマスコミに如何に対抗するか、といふ話なのだが、それにしても、話せば話すほど絶望的な気分になる。たとへば、私は昨日「電話加入権」問題について書いたが、この手の「国家的詐欺」(by 日垣隆)が成功するにあたつて、マスコミの果たす役割は大きい。マスコミにとつては、視聴者や受け手よりも、スポンサーの方が大事である。だからスポンサーに都合の悪い情報など、基本的に流さないし、嘘の(と言つていいと思ふけれど)肯定的なイメージばかりを垂れ流すことになる。このやうにして、NTT や JR などは国家的詐欺を堂々と成功させてきたのだ。マスコミは、NTT や JR のやうな巨大企業に逆らへない。

 そもそも私は「小さい政府」支持論者なので、民営化には基本的に賛成なのだ。だから、人間的には大嫌いであつたが、中曽根の民営化政策(国鉄→ JR に代表される)も支持したし、小泉の民営化政策(規制撤廃・特殊法人潰し・郵政省民営化)も支持したのだ、最初は。ところが、しばらく経つて、彼らの行つた「民営化」は、ちつとも民営化ぢやなかつた事が判明する。といふか、それとは全く逆のことをやつてゐたのだ。

 国鉄が民営化して JR になり、巨額な累積赤字が消滅した、これは民営化の勝利だ! と、いふのは、完全に嘘だつた。そもそも赤字は JR に引き継がれてゐなかつたのである。赤字は結局、我々の税金で埋めるのだ。そして JR は、タダ同然で引き継いだ豊富な資産(鉄道や旧国有地)を使つて阿漕な商売をやり、競争相手である民間の企業を潰してゐる。これでは民間の活力は逆に奪はれるばかり。民営化の目的は民活にあるのに、全く逆の事をしてゐるのだ。かういつた事は、決してマスコミで喧伝されない。そして、巨額な広告費を使つた「肯定的イメージ」の宣伝ばかりが流される。だから、今でも大抵の人々は、国鉄より JR が、電電公社より NTT が、無条件に良いと思つてゐるのではないか? でも、そんな事はないのだ。我々は騙されてゐるのだ。私も騙されてゐたのだー! 悔しい。

 …あ、時間が尽きたので、今日はこの辺で。

小川顕太郎 Original: 2004-Nov-3;