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 Diary 2004・6月22日(Tue.)

岸部一徳

 雑誌「週間文春」に、阿川佐和子のこの人に会ひたい、といふ連載インタビューがあるのだが、今週号のゲストが岸部一徳であり、これがなかなかに興味深かつた。岸部一徳は、現在は周知のやうにカルト的な人気を誇る異色俳優であるが、元タイガースのリーダーでサリーと呼ばれたミュージシャンでもあり、借金・失踪問題で世を騒がせた岸部シローのお兄さんでもある。インタビューでは、これらの事にも勿論触れてはゐるのだが、なにより面白かつたのは、一徳のお父さんの話である。一徳のお父さんは、戦後、死ぬまで無職で通した遊び人であり、各所に子供を作つてゐて、一徳自身、自分の兄弟が一体何人なのか、数へるのは難しい、と言ふ。どうも 10 人以上ゐるやうだ。また遊び歩いてゐるのであまり家にはをらず、博打好きゆゑ借金に追はれて夜逃げをした事もあるさうなのだが、一徳はそんなお父さんが大好きで、尊敬までしてゐたやうだ。なぜなら、様々な遊びに通じてゐるので話が面白く、金がないので自分自身では所有してゐなかつたものの、骨董や美術品に目が利くといふ風流な面も持ち合はせてをり、さらに文学書の初版本を集めるなどコレクター的な気質もあつて、とにかく魅力的な人であつたからだ。うーむ、なるほど、そのやうな親であつたからこそ、この子供たち、か。

 来店してくれたアキラ 28000 とベッチの両人に、この一徳のインタビューを読んで貰ふ。すると、思つた通り、二人とも感銘を受けてゐたやうだ。粋人・遊び人志向の血中濃度が高い二人なので。益々の精進を期待します。

 タカハシくん来店。昨日、台風の中、みなみ会館まで「勝新太郎特集」を観に行つてきたさうだ。すると、なんと観客はタカハシくんと老人の二人! 初めての経験に、タカハシくんはビックリしたと言ふ。が、まァ、そんなもんだよ。ババさんもたまに貸し切り状態で映画を観ることがあるやうで、大笑ひしてもひとり、と呟いてゐるし。

 ところで映画の方だが、タカハシくんは『兵隊やくざ』にガーン!! とやられたやうで、今までこんなに面白い映画は観たことがない! と興奮気味で言ふ。是非 DVD が欲しい、と言ふのだが、あるのかな? なんにせよ、勝新の魅力に目覚めて良かつた、良かつた。勝新も、一級の遊び人です。

 ショウヘイくんが、ポルトガルから無事帰つて来ました。直にアップされるであらう、×××くんとの「サッカー欧州選手権観戦記」を御期待下さい。

小川顕太郎 Original: 2004-Jun-24;