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 Diary 2003・10月23日(THU.)

自堕落な休日

 トモコが大阪に出掛けてしまい、私は行くはずであつた日本シリーズが明日にずれてしまつたために予定が空いてしまつた。六轡会篆刻展に行くといふ手もあつたのだが、日曜日にトモコと一緒に行く約束をしてゐるのでそれもどうかと思ひ、ここはひとつ自堕落な休日を過ごしてやれ、と思ひ立つた。

 用意したのはスコッチウイスキー一瓶と、ハーシーズのチョコレート一袋。それと未見の DVD を数枚。これで一日を過ごさうといふ訳だ。まづはコップに氷をいれて、そこにスコッチを注ぎ、チョコレートをひとつ口に放り込んでから、DVD プレイヤーのスタートボタンを押した。

 テレビ画面の中でティナ・ターナーが叫び、アイケッツが踊り、アイクがギターを弾いてゐる。ドイツのテレビ番組に出演した時のものらしく、時代的には 70 年代の前半ぐらゐか。やはりこの頃のアイク & ティナは最高だ。音楽的には別にそこまで惹かれないのだが、パフォーマンスが凄い。とりあへず、お洒落。アイケッツは可愛すぎる。ダンスも素晴らしい。『プラウド・メアリー』を演られると、思はず映画『ティナ』を思ひ出す…。

 30 分ほどで終はる。まだウイスキーはほとんど減つてゐない。うーむ、マツヤマさんは休日にはウイスキー 1 本くらゐ平気で空けるらしい。私は、2 杯ほどですでに頭がクラクラしてきた。いかんなァ、こんなことでは。急いで次の DVD にいく。

 ジェームス・ブラウンの『ロスト・テープ』。1979 年のカリフォルニアでのライブ。JB はこの間、来日公演に行つたばかりだが、やはりこの頃はまだ若い。顔中が脂ぎつてゐる。ダンスも健在で、バックダウンを連発する。演奏もノリにノッてゐて……あ、寝てしまつた。いかん、いかん、酔ひがかなり回つてゐる。やたらチョコレートばかり減つてゐるのも問題だ。身体に悪さうだ。DVD は途中から観直す。

 いささか疲れたので、少し休憩。CD に変へる。サム・クック。いやァ、もう、ねェ、最近の私は、やはりサム・クックに尽きるんぢやないか、と思つてゐる。別にタマイ くんと一晩話し込んだから、と言ふ訳ではないが、サム・クックは素晴らし過ぎる!! と、何度目かのサム・クックブームが私の中で起こつてゐるのだ。もちろん、私も最初はサム・クックのソウルフルな曲が好きだつたのだけれど、今やそれほどソウルフルでないもの、たとへば『I BELONG TO YOUR HEART』のやうな曲まで胸に沁みて沁みて……あ、また寝てしまつた。しかし、今度は耐へきれない。ウイスキーのボトルもやつと 3 分の 2 くらゐまで減つてゐる。…

 かなりの時間寝た。起きたら寒気がしてゐる。風邪でもひいたかな。しかし、トモコはまだ帰つて来ないし、ここで止めたら笑はれる。いや、止めなくても笑はれるかもしれないが、そもそも誰に笑はれるんだか分からないので、それはどうでもいい。スコッチを注ぎ足し、次の DVD に移る。

 R・ケリーのビデオクリップ集。うーん、やつぱ R・ケリーはいいねェ。かうやつてまとめてビデオを観ると、ほんと感動するよ。レコードで聴いた時はベタ過ぎてどうかな?と思つてゐた『THE WORLD'S GREATEST』も、ビデオクリップを観たら思はず涙が溢れる…。

 と、そこにトモコが帰つてきた。テレビの前で泣いてゐる私を見て、呆れたやうに何をしてゐたのか尋ねる。私が涙ながらに今日の一部始終を語ると、一言「アホちやう」と言はれてしまつた。

 確かに、私はアホかもしれない。

小川顕太郎 Original:2003-Oct-24;