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 Diary 2003・10月14日(TUE.)

靖国詣で

 途中で色々とありつつ、タマイくんの部屋に辿り着く。すぐにでも仮眠をとらなくてはならないのに、お互いの 7 インチをかけあつたりしてソウル談義が尽きず、ドンドン日が昇つてくる。結局、2 時間足らず寝ただけでそこを出ることに。眠い。

 まづは渋谷宇田川町の「SAVAGE!」へ。ここは MURO のやつてゐる店で、トモコが是非行つて来いといふので、とりあへず寄つたのだ。ビルの 2 階にあり、思つたより素つ気ない内装。行つた記念にジャンパーを購入。「SAVAGE!」はもうすぐ 7 周年になるさうだ。オパールより少し年上だな、と考へる。

 次は靖国神社。参道の手前の鳥居の前に立ち、遠くに大村益次郎の像を眺めると、とうとう来たか、と感動が沸く。昼過ぎから降り始めた雨のせゐか人はほとんどゐない。霧雨に少しくすんだやうな鳥居や神門が異様に格好良く見える。休憩所で靖国蕎麦を食した後、大手水舎で手と口を清めるところから始まつて、2 礼 2 柏手 1 礼まで、タマイくんに解説しながら行つた。タマイくんは「へー」と、感心したやうな呆れたやうな声を出してゐる。

 遊就館にも寄る。遊就館は、靖国の境内にある博物館である。主に戦争関係の物品が展示してある。ドキュメント映画「私たちは忘れない」などを観ながら、館内を廻つたのだが、予想よりかなり大きい。歴史の解説が書かれたパネルがやたらと多く、展示品が少なく思へる程だ。啓蒙的意図が大なのか、収蔵品が少ないのか。それでも血書や花嫁人形、天皇陛下の宸筆や吉田松陰の筆跡など、興味深い品物は多い。最後にノ ? トに感想を記す部屋があり、そこのノートを見ると、「戦争を美化するな! こんなことで騙されないぞ!」といつた感想が多く書き付けられてをり、ビックリする。一体かういふ事を書く人たちは、何を考へてここに来てゐるのだらうか。心根の卑しい人はゐるもんだ、と、少し憂国の念に駆られてそこを出た。

 新宿のディスクユニオンにも行く。寝不足に加へて、雨の中を傘もささず、重い荷物を持つて歩き回つたので、かなり疲れが溜まつてをり、歩きながら寝さうになつてゐたのだが、レコードを漁つてゐると、目が冴え渡つてくるから不思議だ。タマイくんも同様らしく、お互ひに苦笑する。

 百人町屋台村にて夕飯を食べる。ここはタイやマレーシア、インド、中国などの料理屋台が一カ所に集まつてゐるところで、テーブルにつくと、各屋台の人々が自分のところの料理を食べて貰おうと、一斉に寄つて来て拙い日本語でまくし立てる、といふ所だ。が、最近改装したらしく、場所もキレイになつたついでに、その激しい営業もかなりソフトになつてしまつた、とはタマイくんの弁。それでも、3 人ぐらゐから、我々の見てゐるメニューのそこかしこを指さしながら料理を薦められるのは、新鮮な体験であつた。うーん。

 ここでお開き。タマイくんとも別れる。また呼ぶよ、今度は横浜あたりで、といふタマイくんの言葉を嬉しく聞きながら、東京駅へ向かひ、新幹線に乗る。席に着いた途端、眠りに落ちたのでした。

小川顕太郎 Original:2003-Oct-16;