京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Diary > 03 > 1009
 Diary 2003・10月9日(THU.)

JB 来日公演

 ジェームス・ブラウンのコンサートに行く。行かうか、どうしやうか、散々迷つたのだが、JB も齢 70 なので、もうこれが最後の来日かもしれないこと、公演日がたまたまオパールの定休日であること、映画『ゲロッパ!』を観たり、オパールに JB のフィギアがやつて来たりして、なんか盛り上がつてしまつた事、などから、ええいままよ、と 9500 円のチケットを 2 枚購入、何年ぶりかのフェスティバルホールへと向かつたのであつた。

 向かつてゐる途中、タマイくんから電話がある。JB のコンサートへ向かう途中だと説明すると、「JB!? JB はもう、身体動かないらしいよ。歌も歌へないし、バンドに指示を出すだけ、といふ噂だけど。何年か前の富士ロックの時も、凄く評判悪かつたし」と言ふ。なるほど、まァ、覚悟はしてゐるからいいけどね。

 会場につく。私の席は 2 階席 K 列の一番左端。トモコは右側のもう少し前だ。後ろを見ると、最後列あたりにババさんと T 子さんが見える。目立つなァ。さういへば、と最前列を見れば、イチモトくんとマサくんが確認できた。後ろ頭なのに、案外分かるもんだ。

 少しおして開演。まづは JB ズが出てきて演奏を始める。うーむ、なんか年寄り感が漂ふ。そもそも現在の JB ズって、メンバー誰なんだらうか。しばらくして、MC の「ジェェェェエェムス、ブラウン!」といふ掛け声とともに JB 登場。おお! まさしく JB だ。こんなに離れてゐるのに、歯が白く光つてゐるのが見える。顔の表情までハッキリ分かる。さすがは JB 、存在感がある、といふか、顔が大きいといふか。

 さて肝心の JB のパフォーマンスの方だが、確かに身体は動いてゐない。いや、もちろん全く動いてゐない訳ではないが、往年のパフォーマンスを映像などで見た事のある人間にとつては、動いてゐないも同然だ。JB といへば何と言つてもダンス! ダンス! ダンス! 火花が散るかのやうな素早いステップ、ターン、スプリット、飛び上がり、膝をつき、マントをはね除ける。汗が周りに飛び散る。かういふものを求めてしまうが、たまにチョロチョロと踊るだけ。寂しい。代はりに、凄くダサいお姉さん二人組がステージに出てきて踊りまくるのだけれど、これは、ちよつと…。

 歌の方も、少し弱いかな。オパールにゐるフィギア人形は『I GOT YOU』を歌ふのだけれど、同じく『I GOT YOU』をステージで歌つた JB は、フィギア人形に負けてゐたやうに思ふ。といふのは言ひ過ぎか。あと、これもまたダサい白人の女の人が出てきて歌ひまくるのだが、ちよつと、なァ。JB のレビューは、強力な女性シンガーを擁するのが特徴である。アンナ・キングやマーヴァ・ホイットニー、リン・コリンズなど、数々の素晴らしい女性シンガーを輩出してきた実績がある。で、それが、現在はこの女性なのか? と思ふと、やはりこれも寂しい感ぢがする。仕方ないのかもしれないが。と、否定的なことばかり書き連ねてきたが、それなりに楽しめたのも事実である。ある程度の覚悟は出来てゐた訳だし、それにさすがにショーとしてこなれたところがあり、一定以上の水準は当然あるのだ。JB の、老人力っぽいダンスも、それなりに良いもんである。アンコールがなく、あつさりし過ぎてゐるやうな感ぢがした事、バラード系の曲がほとんどなかつた事、マントショーがなかつた事、など、あげれば不満は幾らでもあるが、概ね満足して私は席をたつた。

 会場を出ると、外でイチモトくんが頭から湯気をたててゐた。

「あんなん駄目でせう!! なんでマントショーやらへんのや! 自分がマントかけてどうするねん!! 『センド・ミー』なんて歌つてゐる場合か! T シャツまで買つて、最前列で頑張つてゐたのに、なんやねん、アレは!!!」

 まあまあまあ。イチモトくんの怒る気持ちも分かるけどね。はは。

 家に帰つて、『PLEASE PLEASE PLEASE』でも聴くか。

小川顕太郎 Original:2003-Oct-10;