若い頃は
マツヤマさん来店。「最近、少し理由があつて、自分の若い頃のことを文章にまとめてゐるんだけど、すると、その時には分からなかつた事が色々と分かつて、いいね。周りの人が、その時実は何を考へてゐたのか、自分が何に囚はれてゐたのか、とか云ふことが、ハッと分かつたりして。」と言ふ。
確かに、文章に纏めると、事態をより客観的に捉へることが出来たりして、気づかなかつた事に気づいたりしますよね。
「自分で言ふのも何だけど、いいよー、この文章。もし長さがあれば、どこかの文学新人賞に投稿したいくらゐ」
それは、面白さうです。もし機会があれば、是非見せて下さい。
テラダさん、アサノさんと共に来店。「オガワくん、『8 Mile』観たん? 私らの若い頃は、パブリック・エネミーとかの全盛期で、もうラップと云へば、白人をぶっ殺せー! といふ感じやつたけどな。私も、それでよく木屋町の不良外人をボコボコにしたつた。」
うーん、それはあまりヒップホップに関係がないのでは…、いや、やはり有るかな? テラダさんは、実行派だから偉いと思ひます。ヒップホップも、有言実行が身上ですから。
タカハシくん、ヤマダくん来店二人は近くのレストランで働く若者で、ともに 20 歳と 19 歳だ。若い。ヤマダくんが、いつもショーン・ジョンやロッカウェアの服を着てゐることから、トモコが「ヒップホップとか好きなの?」と尋ねてみる。
「いや、その、若い頃は聴いたけど、最近はあまり聴かないですね…」
「なによ! その歳で、『若い頃は…』とか言はないの! 今でもじゅうぶん若いんだから。人生を振り返るのはまだ早い!」
「はあ…、最近は癒し系のものが聴きたいですね。ヒップホップはちょっとしんどい。若い頃ならしんどくなかつたんですが…」
「だから! 『若い頃』とか言はないの! まだまだこれからぢやない。今からやらなくちゃならないこと、は、たくさん有るわよ。何か、やりたい事とか有るんぢやないの?」
「ううん、やりたい事ですか…若い頃なら、さういふ夢も…」
「キイー!! ボカッ!!」
…と、いふのは嘘。お客さんを殴つたりしないですよ。もちろん。 ま、人生 70 歳から、と考へてゐる私にしてみたら、オパールに集まる人たちはみな、まだ若いですよ。
小川顕太郎 Original:2003-Jun-1;