Diary 2003・5月8日(THU.)
空海と高野山
京都国立博物館に「空海と高野山」展を観に行く。何と言つても運慶作の『八大童子立像』が素晴らしい! これは運慶の数多い傑作のひとつとして有名な作品であり、中でも『矜羯羅童子』像と『恵光童子』像は令名が高く、写真などで今までも観たことがあつたが、なんのなんの、写真なんかではその凄さが全く伝はらない、といふ事がよく分かつた。生きてゐるとしか思へない、とよく言ふが、正に、そこに息づいてゐるとしか思へなかつた。何度目を擦つてもさうで、いささか戦慄するぐらゐ。はつきり言つて、これを観られただけでも、来た甲斐があつたと言へるだらう。
その他にも、もちろん数々の素晴らしいものが展示してあつた。快慶作の『深沙大将立像』、空海筆の『聾瞽指帰』、色褪せが激しいとは言ふものの、平清盛が自らの血を塗り込んだことで有名な『両界曼陀羅(血曼陀羅)』、請来檀像の典型として有名な『諸尊仏龕』、池大雅の描いた襖絵、などなどなど。空海が、日本における自らの根拠地を定めるべく、唐から飛ばした(そしてそれが高野山にたどり着いた)と言はれる『金銅三鈷杵』や、神泉苑にて善女竜王を呼んだ(そしてそれによつて都に雨を降らせた)時に使つたと言はれる神剣など、空海ファンにはたまらない品々もある。これは死ぬまでには必ず一度は高野山を訪れなくては、としみじみ思ひながら、そこを出た。
夕飯は、マツヤマさんから教へて貰つた「コリス」といふ店に行く。味よし、値段も手頃で、大満足の店。近所にあれば、通つてしまうだらう。さすがはマツヤマさん、と感心しながらワインを飲み、寝てしまう……。
今日は昨夜の豪雨のせいか、肌寒い一日。っていふか、寒すぎる! あとは、睡眠不足で、気を抜けばすぐに寝てしまう一日であつた。
小川顕太郎 Original:2003-May-9;