Diary 2003・3月23日(SUN.)
名前を忘れた
何年かぶりで会つた友人の名前を忘れてゐることがある。我々のやうなサービス業に携はる人間は、一度会つた人の顔と名前は必ず覚えなければならない、といふ田中角栄のやうな能力が求められる(と一部で囁かれてゐる)が、私はどうも苦手である。まあ、それはさておき、先日マツヤマさんから、こんな話を聞いた。
マツヤマさんが Romanza として一家を構へる前、まだ他の美容院で働いてゐた頃の話。その美容院には受付(及び雑用)専門の女の子がゐたさうなのだが、ある日、その美容院に、受付の女の子の昔の友人が、たまたまやつて来た。その美容院では、初めて来たお客さんの顧客リストを、最初に受け付けで作ることになつてゐたのだが、その受付の女の子は、顔は覚えてゐたその友人と、顔を見合はせた瞬間に「あー、久しぶり」といふ挨拶を交はしてしまつた直後に、その友人の名前を覚えてゐない事に気づいてしまつた。いまさら、「お名前は?」とはきけない。窮した受付の女の子は、「あ、そうそう、あんたの名字、どんな漢字やつたかなあ、間違ふといけないから、ちよつと紙に書いてくれへん」と言つて、紙と鉛筆を友人に渡した。その友人は、少し変な顔をしたが、紙に自分の名前を書き、女の子に返してくれた。そこには「山田」と書いてあつた…。
サービス業は大変ですね。
さういへば、カフェインは記憶力を増進させる力があるさうですよ。サービス業に携はる人は、カフェイン摂取の習慣をつけるとよいかもしれませんね。まあ、カフェインは耐性もできやすいんですが…。
小川顕太郎 Original:2003-Mar-25;