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 Diary 2003・6月24日(TUE.)

世界認識

 タカハシくん & ヤマダくん来店。…って、またそのネタかい! と、言はれさうだが、今日もまた、非常に目の覚めるやうな話を聞いたので、後学のために記しておかうと思ふ。

 それは海外旅行の話をみなでしてゐる時に、タカハシくんが「でも、船で外国に行ける、と知つた時はショックだつた」と言ひ出したことから始まつた。最初は、何を言つてゐるのか、よく分からなかつたのだが、色々と聞きただしていくと、どうもタカハシくんは、海を介して外国と日本が繋がつてゐる、といふ事実にショックを受けたやうなのだ。タカハシくんの考へでは、外国は飛行機かロケットで飛んでいくことでしか到達できない異世界、といふものであつたらしい。さらに驚くべきことに、タカハシくんは、この世界といふのはそもそも地球の内側に存在する、と考へてゐたやうなのだ。

「だつて、地球の外側に世界がくっついてゐるなんて、普通考へられないでせう?」と、タカハシくんは言ふが、ううん、さうかなあ。これは、タカハシくんが小学生の時の認識である。

 駄目押しでもうひとつ付け加へると、タカハシくんは、世界地図といふものには裏がある、と考へてゐたらしい。我々が目にする世界地図といふのは、こちら(?)の世界だけを描いたものであり、実は裏側の世界が存在するのだが、それは地図に描かれてゐないので知ることは出来ず、それは裏側の世界の住人にしても同様だ、と考へてゐたさうなのだ。そのことで、「そんなことあるか!」と言ふ級友と言ひ合ひになり、先生の所に行つて裁定を求めたのだが、当然といふか、先生に「裏側の世界なんてありません」と断定され、タカハシくんは「えー、世界って、たった、これっぽっちなのー」と激しく衝撃を受けたのだといふ。

 考へてみれば、我々は現在の世界認識をいつごろ得たのであらうか。最初から、今と同じ認識であつたとは考へにくい。とはいふものの、私自身のことを考へてみれば、例へば地球は丸いといふ事実に衝撃を受けたり、世界の大きさについて感想を持つたりした記憶が全くない。タカハシくんのやうな認識の劇的な変換を、まあ、もつと早い時期であつたにせよ、我々は本当に経験してゐるのだらうか。もし、さうだとしたら、何故それを覚えてゐないのか。疑問はふくらむばかりである。

「タカハシさん、小学生の時に、地球儀とか買はされなかつたんですか?」と、ヤマダくん。「ボクらは、全員買はされましたよ。で、みんな、メッチャ地球儀を回してゐましたよ」確かに、子供はあれを回すもんだ。

 今日は激しい雨の一日であつた。

小川顕太郎 Original:2003-Jun-26;