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 Diary 2003・1月26日(SUN.)

ヤマネゴロウ
京都デビュー

 昨晩から不吉な予感はしてゐたが、見事に的中。完全に熱がある。頭が割れるやうに痛い。このやうなざまでは、家でゆつくり寝てゐるに如くはない。……といふわけにはいかないのが辛いところ。本日はヤマネゴロウ氏の記念すべき京都デビューの日なのだ。やはり、これは行つてをいた方が良いだらう。将来ヤマネゴロウ氏が世界的なピアニストとなつた時に、後悔するかもしれない。私はヨロヨロと出掛けた。場所は京都文化博物館の別館。ヤマネゴロウ氏は、ふだんオパールのカウンターで見られるのと何ら変わりのない表情で舞台に現れた。ピアノの前に座り、精神を集中してゐるのか、なかなか弾きはじめない。これがクラシックのコンサートといふものか? と考へてゐるうちに、演奏が始まつた。

 さて、私は基本的にクラシック音楽を聴かない。ので、ヤマネゴロウ氏の演奏に対して、あれこれいふことが出来ない。とはいへ、音楽そのものは好きな方なので、なかなか楽しめた。生演奏を 30 分、といふ形態も良かつたやうに思ふ。なぜなら、まア、白状すると、私はピアノ曲の CD やレコードも何枚か持つてゐるのだが(グールドとか!)、部屋でそれらを最後まで聴き通すのは、なかなかつらいのだ。ソウルのやうに、全身全霊を込めて最後まで聴き通す、といふ訳にはいかない。故に、クラシック音楽には苦手意識があり、本日のコンサートにも不安があつたのだけれど、やはり、生演奏といふのは良い。ピアノの音は美しい。よい体験をしました。

 この後、針生りん太郎氏の演劇が行はれ、その伴奏を全てヤマネゴロウ氏が手掛けるのだが、そちらの方は遠慮させて貰つた。別に、針生氏の演劇が嫌だとか、体調不良の故に、といふ訳ではなく、実は私はこの後、同じ京都文化博物館で上映される『無法松の一生』(昭和 18 年・稲垣浩監督)を観ることになつてゐるからだ。この事は、前々から決めてゐた事だ。何が何でも観るのだ。…とはいへ、頭が割れるやうに痛い。このやうな体調で映画など観る事ができるのだらうか。とは思つたものの、この映画は前から観たいと思ひながらも、何度となく見逃してきた作品なのだ。もう、ここで観てをかなければ、一生観られないかもしれない。ビデオで観るならともかく、劇場で観やうと思へば、本当に映画とは一期一会なのだ。

 で、観ました。素晴らしかつた。観てゐる間は、頭の痛みなどどこかへ飛んでゐました。阪妻の代表作のひとつにあげられるだけあつて、阪妻がすばらしすぎる! 映像も限りなく美しい。ううん、何と言ふべきか……。

 頭が割れるやうに痛いです。

小川顕太郎 Original: 2003;