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 Diary 2003・1月14日(TUE.)

老人力

 ババさん来店。朝日シネマにてケン・ローチ監督『ブレッド & ローズ』を観てきたさうだ。ババさん曰く「凄かつたです。考へてみればケン・ローチもそろそろ 70 歳、もう老人力が炸裂してゐました。恐いモノなし!! といふ感じでした」。ううむ、それはかなり面白さうだ。

 老人になると、自己規制力が落ちて老人力が噴出し、とんでもない表現をやりがちだ。さらに、ある程度のキャリアを積んだ老人のやる事は、周りの人達も止められないので、それがそのまま流通したりする。これが、素晴らしいのだ。今のやうに、ある程度文化が行き詰まつてゐる時には、この老人力こそが、硬直化を打破する力となり得る。だから、先日の深作欣二監督の死は、まことに残念であつた。『おもちゃ』『バトルロワイヤル』と、老人力溢れる作品を連発してゐただけに、本当にその早すぎる死が惜しまれる。早すぎる? さう、72 歳では、早すぎる。北斎もいふやうに、70 歳を過ぎてやつと、少しはマシなものが作れるやうになるからだ。

「ところで」とババさん。「ケン・ローチの他の作品『スイート・シックスティーン』『ナビゲーター』の予告編もやつてゐたんですが、1 月いつぱいで朝日シネマは閉館するのに、やるんですかねえ。…あ! もしかして、朝日シネマが閉まれば、もう京都ではケン・ローチの作品が観られなくなるかもしれない! し、しまつたアー! 朝日シネマ存続運動に署名すれば良かつたアー!!」。確かに。しかし、その時に私は、『ナビゲーター』という作品名に引つ掛かつた。待てよ、その作品のチラシは、オパールに置いてあつたのでは。私はチラシ置き場に行き、チラシをとつてきた。有つた。なんと京都イタリア会館で上映するではないか。「おお! さすがは RCS ! これで安心して、朝日シネマに別れを告げられる。お疲れさま! 朝日シネマ!」

 私はこれらの作品群を観に行けるだらうか。

小川顕太郎 Original: 2003;