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 Diary 2003・8月19日(TUE.)

読売の陰謀

 先日、井上章一の本『関西人の正体』がユルすぎて面白くない、といふ話を書いたが、雑誌「諸君!」9 月号に井上章一が書いてゐる「阪神タイガース優勝は読売の陰謀や」は、なかなか面白かつた。今年の阪神の異常な快進撃の裏には、読売の、球界全体の陰謀が隠されてゐるのではないか、といふ説は、ヤマネくんあたりからもすでに聞かされてゐたので、井上章一のこの文章の題名を見た時は、ああ、またこんな誰でも言ひさうなことを言つて、と少々うんざりしたのだが、実際に読んでみると、短い中にも様々な事実と邪推を盛り込んでをり、楽しめた。さうなのだ、私が『関西人の正体』に対して持つた不満のひとつは、山本夏彦流に言へば「かいつまんで言へ」といふことで、下らない話をダラダラと延ばしすぎだと思つたのだ。字数稼ぎか? と、邪推してみたりして。

 で、この「阪神タイガース優勝は読売の陰謀や」だが、球団創設以来、阪神が常に読売と組んで関西とファンを裏切り続けてきた歴史がコンパクトにまとめてある。私のやうに野球に興味がなく、それでも子供の頃は阪神を応援してゐて、今でも心情的にはなんとなく阪神ファンといふ人間にとつては、なかなかに面白い歴史であつた。さうか、阪神とはこんな球団だつたのか……やはり、今年の阪神の快進撃は読売の陰謀なのかもしれない。

 やつと暑くなつてきて、いよいよ夏本番といふ感ぢ。寝苦しい。早く秋になつて欲しいものです。

小川顕太郎 Original:2003-Aug-21;